追記(2023/12/07)
来年1月、池袋に新しいお店が誕生する。お店の名前はビーダッシュ。
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【12年ぶりの池袋新店】B-DASHはアングラ砂漠のオアシスになる
もはや池袋はアングラ不毛地帯ではない。
もっとも2011年にBUGがクローズして以降も、SMバーが営業を続けていたことから、「種は蒔かれていた」とも言える。
ともあれ、かつて蒔いた種の芽吹く季節が、ようやく巡ってきたのである。
ビーダッシュのオープンは、業界関係者の注目度が高い。それは、池袋というエリアの集客力を占う上で重要な試金石になるからだ。
錦糸町が千葉アングラ民の植民都市であるように、東武東東上線や西武池袋線のターミナル駅である池袋は、埼玉界隈民のアングラ植民都市として再生(ルネサンス)し、かつての栄光を取り戻すのだろうか。
噂によれば、池袋バーダッシュは既存店が経営に参画し、かつての有名店のスタッフが運営に携わるという。
期待は高まっていく。
錦糸町、上野、そして池袋
かつてサハラ砂漠や中東に森林があり、肥沃な土地であったという事実を聞いて驚く人は少なくないだろう。
歴史は移り変わる。
ふだん当たり前であると思っていることは、さほど当たり前のことではないのだ。
ハプニング全史と題して、コラムでハプニンバーの歴史を辿っていくなかで、そのようなことを思い出したのだった。
そのきっかけになったのが、錦糸町、上野と続くハプニングバー全史の地域研究シリーズ3回目となる池袋である。
池袋の店舗リスト
まずは以前に作成した店舗リストである。


一覧表は以前にコラムで公開したリストから池袋だけを抽出したものだ。
(まだまだ作成中であるので、情報をお持ちの方のご協力をお願いします)
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スペース「ハプニング全史」の配信と「全店舗リスト」の公開について
以前にも紹介したとおり、ハプニングバーが誕生したのは2000年以降であり、それ以前はカップル喫茶が主流であった。
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【ハプニング全史】カップル喫茶の受難史
カップル喫茶は1993年に大阪の鶴橋で誕生したが、その翌年には東京にも同形態のお店が進出し、池袋は六本木と並ぶカップル喫茶のメッカであったのである。もっとも地域の特性上、池袋は六本木に比べれば手軽に遊べる店が多かったようだ。
当時のカップル喫茶に関する情報は少なく、引き続き情報を募集しているところではあるが、FortuneやXなど数店舗が存在していたようである。
その中の一つ、メイトは2000年にハプニングバーに業態を転換している。
下記コラムのとおり、ハプニングバーが誕生したのは2000年であることから、メイトが池袋ではじめてのハプニングバーであった可能性が高い。
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【ハプバー考古学#03】Le Grand Bleu 〜深く潜る
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【はじまりの記憶】ハプニングの起源について
もっとも、同年にはBUGというSMに特化したハプニングバーも存在していたようである。
2001年にはスナックメイト、2002年にはSccuubus(錦糸町に存在した同店名の店舗とは無関係)、2004年にはXINGBAR sasquatch、2005年にはタントラがオープンする。
2005年までは勢いのあったカップル喫茶もこの間も多数オープンしていることから、池袋はハプニングバーとカップル喫茶のメッカであったことが伺える。
もっとも、それ以降は退潮傾向となり、2009年にオープンした少人数予約制のハプニングバー、ロビオスクラブ モルトが最後のハプニングバーになる。
2000年にオープンしたBUGが2011年にクローズしてからは、池袋はハプニングバー不毛地帯となっている。
なぜ砂漠化が進んだのか
なぜかつては栄華を極めていた池袋はアングラ砂漠とでも呼べる不毛地帯と化したのだろうか。
ハプニングバーの摘発が初めて公のニュースになったのは、2005年に六本木でLOCKの一件である。
この事件をきっかけとして、ハプニングバーの世間での認知度が向上し、ハプバーラッシュと言っていいほど、ハプニングバーのオープンが続くのである。
一方、摘発のリスクが高まったことから、2005年以降は利益率がハプニングバーより低いカップル喫茶は減少し、池袋のカップル喫茶は壊滅したのである。ハプニングバーについても、おそらくは豊島区の指導が強化されたことにより、新規出店がなくなったものと考えられる。
かくして、池袋はアングラ砂漠に変貌したのである。
池袋、錦糸町、そして上野
池袋が砂漠化してからは、新宿に次ぐハプニングバーのメッカは、錦糸町、そして上野に引き継がれる。
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【錦糸町】変態バーから大箱SMバーまでの20年史
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【秘史解禁】上野のアングラ全史
もっとも5年程度の中期的な視点で考えれば、今の上野の地位も盤石であるとは言えないだろう。
再開発による浄化が始まれば、上野であっても、新規出店は厳しくなってしまうからだ。
今回のコラムは「池袋のアングラ衰亡史」というタイトルであるが、それはハプニングバーそのものの縮図と言えるのかもしれない。
カップル喫茶がそうであるように、ハプニングバーがいつまで存在するかも、神のみぞが知るところである。【了】
【更新履歴】
2022/10/29