ハプニングとは行動であるーーというよりむしろ一連の行動と事件である。
スーザン・ソンタグ『反解釈』
スーザン・ソンタグ1アメリカの女性文芸批評家,小説家,映画監督。ニューヨーク生まれ。1948年にカリフォルニア大学に入学,以後シカゴ,ハーヴァードの両大学で文学と哲学を学び,フランスに留学してパリの最新の思想を吸収した。特にロラン・バルトの影響が大きい。1959年「コメンタリー」誌の編集を担当したほか,ニューヨークのシティ・カレッジなどで哲学を教えたこともあるが,アメリカを代表する文芸批評家として活動を続ける。(集英社世界文学大事典)の言説で想起される人物は、私にとっては相葉たつや氏において他ならない。
それは今年のアングラ界隈において、相葉氏の影響がそれだけ大きかったということである。
今回のコラムはアイキャッチ画像にあるとおり、相葉氏のリスエストに応じて、相葉氏について批評を試みるものだ。
まずは私もソンタグに倣い、相葉氏について言及しよう。
「相葉たつやとはハプニングであるーーというよりむしろ一連の行動と事件である。」
相葉氏を構成する要素のほとんどは行動と事件であると、言論レベルでのみ活動する私のような人間にはそのように思える。
たしかに相葉氏は行動と事件を起こしてきた。
新宿440での初イベントを皮切りに、既にクローズしたアフロディーテで伝説のマンスリーイベントを立ち上げたほか、現在も上野パピヨンでレギュラーイベントを持っているからだ。
それだけではない。
相葉氏が企画したり、参加したイベントは圧倒的な動員数を誇るのである。
上野パピヨンのDJイベントは100人超の満員御礼となった。
オフホワイトの合同講習会も、おそらくオープン以来の来客数のレコードを更新するような盛況となったことは記憶に新しいだろう。
そのどれもこれもが、界隈にとっては「事件」であったと言っていい。
そして「相葉氏はレインメーカーである。」
レインメーカーとはアメリカにおいて莫大な利益をもたらす凄腕弁護士を意味する言葉だ。雨を降らす魔術を持っているかのような実力からそのように呼ばれている。
相葉氏はポストコロナで干上がった界隈に雨を降らせた。
そう表現しても大袈裟ではないだろう。
それを相葉氏は「行動」で示してきたのである。
もう一度言おう。
「相葉氏とは行動と事件である。」
界隈インフルエンサー
相葉氏がもたらしたのは動員数だけではない。
界隈インフルエンサーが店でイベントを企画するという概念を生み出したのである。
これは従来の箱貸しによる身内のイベントとは異なり、イベンター自身がSNSで集客するものであり、相葉氏はこの分野での嚆矢であることに疑う余地はないだろう。
同時期に、相葉氏がスタッフを務めるノンハプバーもぐらも、イベントもぐらというお店を立ち上げたが、これはノンハプバー版のそれに当たるだろう。
店自体よりもインフルエンサーが集客力を持つ。
そのような時代において、アングラでそれを具現化したのが相葉氏である。
年末のハプニング
年末にかけて、相葉氏がプレゼンターを務める第4回 東京ハプバーランキングが行われる。今年の締めくくりとなるイベントである。
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【年末開催】相葉たつやプロデュース、第4回ランキングについて
19日にはもぐらで抽選会がスペース配信されるという。
店だけではなく、今後の相葉氏の動向を占ううえでも重要なイベントになることだろう。
来年も相葉氏は界隈の台風の目であり続けるだろう。
一連の行動と事件でーー
人はそれをハプニングと呼ぶ。
【了】