アンダーグラウンドとラグジュアリーの交差点
ラグジュアリーとアンダーグランドのクロッシング・ポイント――
贅沢を楽しみながらも、背徳感を味わう――
ハーネス東京はそのような空間である。
なぜだろうか。
まるで工芸品のようなパープルアゲート(紫瑪瑙)のバーカウンター、熟練した職人のハンドメイドによるライオンのレリーフ、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画に出てきそうなアンティークのシャンデリア、そしてハイレベルのホスピタリティを提供するスタッフ――
それらはすべてハーネス東京のコンセプトを叶えるために集まっている――ひとりひとりのお客の特別な体験のために。
そのようなハーネス東京の理念に共鳴し、新たなコラボレーションが実現する。セベデ新作発表のレセプションがハーネス東京で開催されることが公表されたのだ。
CEBEDE(セベデ)はCBDを配合したプレミアム・リキュールのブランドであり、ハーネス東京は、セベデのアーリーアダプターである。早い時期からセベデにバリューを見出し、このお酒をラーセンシップや山崎18年などの銘酒と一緒に並べている。
ところで、ハーネス東京はセベデのどこに価値を見出したのだろうか。
そして、なぜセベデとのコラボレーションが実現したのだろうか。
このコラムではその秘密に光をあてる。
カスタマーファースト
セベデは麻の茎や種から抽出されるCBDという成分を配合している。この成分はストレス緩和に有効とされており、法律上も健康上も問題ない。
しかしそのような効能があっても、薬用酒のような健全で朴訥な雰囲気はセベデにはない。リーガルはクリアーしていても、デカダンスとでもいうべき、高貴かつ退廃的なムードや背徳感が、セベデからは不思議と漂ってくるのだ。それはセベデだけが持ち得るアンダーグラウンドな魅力に他ならないと思う。
もちろん、セベデの魅力はそれだけではない。クオリティの高さに由来するラグジュアリー感も、ブランディングを支える一つの要因である。Webサイトの記述によれば、国産であるほか100年を以上続く歴史のある酒蔵で、このお酒は造られているとのこと。そのセベデが新作をリリースするとあっては期待せざるを得ない。
好評を博したレモネードに続く、セベデの新作はキウイ。
試飲したハーネス東京のスタッフの感想によれば、フレッシュな果実感があり、お酒であることを忘れるほどの美味であったという。
セベデキウイは前作のセベデレモネードを軽々と超える――もはや期待感しかない。
飲んでくれた人に至福の時を提供したい――そのような願いがセベデには込められていると私には思える。そして理想を追求した結果、それがセベデというお酒になったのでないか。
ハーネス東京にも似たような事が言えないだろうか。つまり、お客のために特別な空間や時間を追い求めた結果、それがハーネス東京というアンダーグラウンドなお店になったということである。
カスタマーファースト――この共通の理念によって、セベデとハーネス東京のコラボレーションが実現したのだ。
ところで、レセプションでは、新作のセベデキウイが無償で振舞われるという。危険極まりない――私はそう直感した。
しかし、美酒を前にこれ以上語るのは野暮というものだ。そろそろ筆を措こう。
レセプション当日のハーネス東京は、妖しく危険な魅力が立ち込めているに違いない。
すべてはお客のために。アンダーグラウンドとラグジュアリーは悦楽の彼方で交錯する――
【了】