新宿ピュアティワンとの同窓会(2024/02/21)
1月23日に追記したコラムで取り上げた新宿ピュアティワンとの同窓会イベントが、コラム投稿後に急遽発表された。
これを受けて新規に以下のコラムを執筆した。
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【受け継がれるDNA】グレイホール、ピュアティワン、そしてスカーレット東京
原点をめぐるスカーレット東京の1年(2024/01/23)
まもなくスカーレット東京がオープン1周年を迎え、今週末は3日間に渡ってイベントが開催される。
ちょうど一年前の今頃、スカーレット東京は、SNSでの事前告知がほとんどないまま、歌舞伎町の大箱でグランドオープンした。当時の界隈は「歌舞伎町に大箱が出来るらしい」という噂で持ちきりになっていたことが、今となっては懐かしく思える。
その頃の私といえば、あまりの騒動を大きさを幕末のペリー来航になぞらえ、スカーレット東京を「界隈の黒船」と形容しコラムを執筆し、以降も折りに触れて、こうしてコラムを追記してきたのである。
そして、年末に私が独断で選考する「界隈流行語大賞2023」では、スカーレット東京が「原点回帰」で大賞を受賞し現在に至る。(ちなみに「界隈流行語大賞2022」は渋谷ロシナンテの「到底納得できない」である。)
さて今回のコラムでは、スカーレット東京がオープンよりコンセプトとして掲げる「原点回帰」についての論考を展開したい。具体的には、スカーレット東京の考える「原点」についての探究である。
結論からいえば、スカーレット東京が原点として追い求めるものは、1990年代に青山に存在した伝説の変態BAR、グレイホールの精神である。
その理由を説明する前に、まずはアンダーグランド界隈の歴史について解説する必要があるだろう。
ハプニングバーやカップル喫茶が誕生する以前のアンダーグラウンドでは、インターネットが普及していなかったことから、『ホームトーク』という交際誌と呼ばれる媒体に好事家たちが投稿することでカップル同士で交流したり、誌面で単独の男性(単男という言葉のルーツはここにある)を募ることで秘密の楽しみを共有していたのである。
そしてインターネット登場後は、現在も続くナンネットというBBSで嗜好性の高い遊びを密かに楽しんでいたのだ。
そのような好事家たちが集まるサロンとして誕生したのが、前述したグレイホールである。もちろんカップル喫茶やハプニングバーが誕生する以前の話になる。
もっともグレイホールは実践のための空間ではなく、好き者が集う秘密のサロンであり、変態BARという業態として認識されていたようである。このグレイホールの影響を受けて、店の常連たちが実践のための空間として、カップル喫茶を立ち上げ、それが現在のハプニングバーに繋がっていく。これがアンダーグラウンド黎明期の歴史である。
このようにしてグレイホールはアンダーグラウンドの巡礼始祖(ピルグリム・ファーザーズ)を大勢輩出したことから、まさに変態たちの梁山泊であったと言えるだろう。
事実、現在のハプニングバーの礎を築いた、新宿ピュアティワンのマスターも、『実話ナックルズ 2003年8月号』のインタビューで答えているように、元々はグレイホールの常連だったのである。
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【何度でも新しく生まれる】新宿ピュアティワンの研究
つまりグレイホールは、アンダーグラウンド界隈のゴッドファーザーともいえる人物を生み出した空間であるとも言えるのだ。
前置きが長くなってしまったが、なぜスカーレット東京とグレイホールは繋がっていると考えられるのだろうか?
本質的な議論はここから始まる。
それは以前にもコラムで記したとおり、スカーレット東京の営業スタンスは、グレイホールやその影響下のもとで生まれた新宿ピュアティワンが培ってきたアンダーグラウンドのマナーと呼ぶべきものを、確実に踏襲しているように考えられるからである。
具体的に指摘すれば、SNS全盛期にあって、Xでの情報公開は極めて制約的であるし、大箱でありながらも、毎週末に派手なイベントを開催するということもない。つまりアンダーグラウンドであればこそ、露出を控えるというスタンスが徹底されているのである。
つまりスカーレット東京は、グレイホール、さらには新宿ピュアティワンのように知る人ぞ知るというポジションやブランディングを目指していると考えることができる。
上記の議論を踏まえれば、「グレイホールー新宿ピュアティワンースカーレット東京」は、アンダーグラウンドの歴史において、始原的なひとつの系譜に属すると考えられるのである。
そして新宿ピュアティワンは、ラブドールBARに業態を転換している。推察の域を出ないが、私にはスカーレット東京の営業が軌道に乗ったことを見守ってから、ラブドールBARへと営業スタイルを進化させたようにも思えるのだ。
ところで、現代社会はLGBTQという言葉に代表されるように、多様なセクシャリティを認める社会の実現を目指す、世界的な潮流にある。
そうであれば、多様なセクシャリティや、マイノリティに属する嗜好性の実践についても、当事者の合意のもと、公共の福祉に反しない限りにおいて、実現への途を具体的に検討する余地があるのではないだろうか。
当事者の完全な合意のもと、個人の尊敬が失われることのないよう十分に管理されたクローズドかつクリーンな空間で、個々人が持つ嗜好性を経由して幸福を追求することは、果たして公共の福祉に反するのだろうか。
スカーレット東京がオープンした意義は、そのような問題提起をはらむものであったと、私には考えられる。
少し話は逸れるが、従前よりコラムでも指摘している通り、現代社会はSNSやAIによって覆い尽くされようとしている。その結果実現されたものは、計算可能性の増大や可視化領域が拡張されたフラットな社会である。
それは平たく言えば、グローバル規模の資本を背景にしたコンピューティングリソースの増大によって、物事の予想が付きやすくなったことを背景に、人々が合理的かつ予定調和的に行動し、そうした活動の痕跡がクラウド上で目に見えるようになるといった生活である。
そのような社会の到来をユートピアと見るか、ディストピアと捉えるかは読み手の判断に委ねたい。しかしこのような社会の中心に人間や、われわれを育んだ自然環境は存在するのだろうか。さらに言えば、個人の尊厳や生き方の多様性は保たれるのだろうか。
上記の問題提起を経て、私は次の考えに達したのである。
SNSやAIを覆い尽くされた社会において、それらとは一定の距離を置くアンダーグラウンドな空間は、人間性を恢復する手段になり得る。そして、Googleによってクラウド空間に外部化されつつある記憶や知識とは異なり、生成AIのディープラーニングによっては決して解析されることのない「変態」は人類に残された最後の知性ではないだろうか。
なぜなら変態とは、人間の過剰ともいえる想像力や、抽象的な認知能力が生み出した極めて高度な観念であるからだ。
「変態とは知性である」
これがスカーレット東京のコラムを書き連ねるなかで紡ぎ出された信念である。
人々は原点に集い、そして歌舞伎町のアンダーグラウンドに、秘めたる願望を叶える祝祭の扉は開かれるーー
そうなることを切に願って、スカーレット東京オープン1周年に寄せたコラムの結びとさせていただきたい。
【了】
【追記】2023/12/02
秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず。
世阿弥『風姿花伝』
ここ最近のスカーレット東京は、『風姿花伝』の一節にも通じるようなところがある。
それは去年の今頃は、歌舞伎町に大箱店舗をオープンすることを華々しくアピールしていたし、オープン後についても、店内施設のアップグレードなどをSNSで逐一伝えてきたにもかかわらず、最近のスカーレット東京は、大箱を活かした煌びやかな毎週末のイベントや、SNSを活用した大々的なプロモーションなどとは距離を置いているからだ。
外部から窺い知ることのできる情報は、スタッフによるカレー調理の投稿だけであり、意図的にSNSでの露出を制限しているようにも思える。
このような情報量を抑制するような姿勢は、秘匿することの美学を謳った世阿弥の芸術論に倣う戦略であると、私は思う。
しかしそれは、「原点回帰」をコンセプトに掲げる同店ならでは戦略なのかもしれない。つまり古めかしくも思えるアンダーグラウンドの流儀に立ち返ったに過ぎないのだ。
それは隠しているものに本質があるのではなく、隠すこと行為自体に価値を見出す、世阿弥流の美学にも通じるところだ。
たしかにかつてのアンダーグラウンドは、どこか奥ゆかしさや風流さを感じさせる空間であったことを思い起こす。
それはスカーレット東京の動向を1年近く追い続け、同店の目指すところがようやく見えてきた瞬間でもあった。
1年前「界隈の黒船」と私が形容したお店は、いつのまにか海の底に潜り、「沈黙の艦隊」ならぬ「沈黙の変態」となっていたのである。
いつかスカーレット東京は、「独立変態コミュニティ」の樹立を宣言し、地上に浮上するのではないだろうか。
そのような妄想と共に、来年1月の周年イベントに向けて、同店への期待感は増すばかりである。【了】
【追記】2023/03/21
スカーレット東京の各種キャンペーンについて分析したコラムを公開しています。
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【黒船来航】スカーレット東京の研究
【追記】2023/02/19
2月16日、スカーレット東京が重大なピボット(方向転換)を発表した。
イベントによっては単独での入店を認めるというのである。
また、事前に告知していたとおり、シャワーを2台設置するため2月20日~24日昼まで休業し、24日夜から営業を再開するという。
なお当初はシャワー増設だけを告知していたが、店内改装も併せ実施するようである。
ユーザーの要望を取り入れて動線などが改善されることが期待される。
ところで、同店の魅力はスピード感であるように思う。
実際、グランドオープンイベント終了後に、入場料据え置きのまま、フリードリンク(ビールを含む)を導入するなど、
意思決定の迅速性には驚かされるばかりである。
そのような流れの中で、今回は店舗改装とイベント限定での単独来店許可が発表されたのである。
ところで、本来カップル限定の店がイベント単位で単独来店を許可するケースは珍しくない。
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【ハプニング全史】カップル喫茶の受難史
上記コラムで記したとおり、ハプバーより先に誕生したカップル喫茶であったが、2004年頃にハプバーがブームとなってからは、イベント限定・曜日限定・時間限定など制約をかけつつも、単独での来店を許容する方向へ転換する店も少なくなかったのである。カップル喫茶からハプバーへ業態転換するケースも見られたほどである。
そのような経緯を踏まえれば、スカーレット東京は、カップル限定イベントと単独来店可能イベントの比率がどのようになるかが今後のポイントになる。
これについては実際にユーザーの動向を観察しつつ、方針を決めていくのではないだろうか。
個人的な推測としては、最終的には週末営業で金曜と土曜のどちらかが、単独来店可能イベントになるのではないかと推測する。
それに加えて、定期的にカップル限定の貸し切りイベントも開催し、あくまでカップルのための店というコンセプトは残しておくものと考えられる。
なぜかといえば、集客のメインは週末であり、平日の曜日や昼営業に限定して単独での来店を許可するのではあれば、わざわざピボットを発表したことの意味がないからである。今後は様子を見ながら、週末に単独可能イベントを開催するのではないだろうか。
いずれにせよ、同店は①立地条件と建物の良さというポテンシャルを持っていることに加えて、②フリードリンク(ビール飲み放題は珍しい)という価格面での強みもある。それだけではなく、③迅速な意識決定能力を兼ね備えていることから、今後は知名度の上昇ととともに集客力を付けていくものと考えられる。
今後の同店の動向についてはコラムでフォローしていきたい。
【追記】2023/01/27(2023/01/29加筆修正)
2023年1月27日の今日は、ディアスポラ(民族離散)1ある民族集団が故郷を離れ、「あちこちに(dia-)散らばっている(-spora)」ことを意味し、現在では移民や難民などを含む幅広い越境現象や離散民を指す用語となっている。(情報・知識 imida)にあった「カップル遊びの民」が祖国へ帰還を果たす記念すべき日となる。
スカーレット東京がグランドオープンするのである。
「我々の思いは一つ原点回帰」
Webサイトにもあるとおり、スカーレット東京は「原点回帰」を謳う。
もはやお店のコンセプトをここで説明する必要はないだろう。
以前記したとおり、最後に東京にカップル喫茶が出店したのは2009年だ。
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【ハプニング全史】カップル喫茶の受難史
そう考えると、スカーレット東京は14年ぶりの新しいカップル喫茶ということになる。
(もっとも同店はカップル喫茶ではなく「カップルバー」を標榜している)
ではスカーレット東京の目指す「原点回帰」とは何であろうか?
2009年に戻ってカップル喫茶を作り直すことなのだろうか?
まずは私の思考プロセスについて解説しながら、上記命題についての議論を展開していきたい。
Webサイトが本格的に公開される以前より同店に関するコラムを記していく過程で、同店の目指すものが次第に私の中で鮮明になっていった。
そのような見地を踏まえて言うと、スカーレット東京は2009年に戻ってカップル喫茶を作り直すことを「原点回帰」としているのではない。
もっとも当初の私と言えば、SNS指向の「カップル喫茶 2.0」のような業態が新宿歌舞伎町にオープンするものと推測していた。
当然のことながら、それは誤りであった。
しかしそのような推論を立てざるを得ない現状があることをご理解いただきたい。
目下、SNSマーケティング戦略を活用した「ハプバー2.0」とでもいうべきスタイルが隆盛を極めており、大箱でカップル喫茶を経営するのであれば、SNS指向で単独入店を許容する「カップル喫茶 2.0」のような形態でしかあり得ないと考えていたからである。
改めて言えば、それは誤りであった。
実際、グランドオープン初日は長蛇の列をなす盛況ぶりであったからだ。
離散したカップル遊びの民が、全国から聖地へ帰還を果たしたのである。
ところでスカーレット東京が目指すものが「カップル喫茶 2.0」ではないとすれば、「原点回帰」とは何だろうか?
名店といわれた四谷カルチャー(2004-2009)か?
あるいは、1993年に大阪鶴橋で誕生した元祖カップル「ワクワクドキドキ」か?
スカーレット東京の目指す「原点回帰」は、上記両店よりさらに時代をディープに遡る。
それは、上記のようなカップル喫茶ではなく、1980年にオープンした目黒オセロ(2010年代まで営業)のようなスワップクラブといわれていた業態である。
さらにいえば、カップル遊びの相手を募集するために「交際誌」と呼ばれる媒体があり、1971年に『全国交際新聞』が創刊されそのさきがけとなり、のちには『月刊ホームトーク』21978年発刊『ホームダイアモンド』より1979年に誌名変更、2014年まで刊行という代表的な交際誌が登場することになる。
そう考えると、スカーレット東京は、交際誌の生まれた50年前まで遡って「原点回帰」を目指しているものと考えることができる。
そして、スカーレット東京の「原点回帰」が現実化し、離散を余儀なくされていたカップル遊びの民が帰還する地は、2007年オープンの「Natulist Club SILK」がかつて店を構えていた場所にある。
私がこれまでコラムを執筆する際に参照させていただいた下記ブログによれば、2000年オープンのハプニングバーの始祖「グランブルー」のオーナーは、フランスまで視察し以下のような言葉を残している。
「フランスの郊外でしたが、“ナチュラリストクラブ”といって、町中がハプニングバー状態だったそうです。何千名もののヌーディストが町を練り歩いている様は、壮観だったといっています。特に男女問わず、日本人はもてたそうです。こんなところもセックスに関する文化の違いを感じました」
タイムマシンにおねがい――「遊びの学校」第七回公開講座「グループセックス大河物語」報告!テーマ:遊びの学校
現在のスカーレット東京が入居するビルで営業していたお店も、店名に「Natulist Club」を冠して2007年にオープンしている。
ナチュリズム(ナチュリズムを体現する集団が「ナチュリストクラブ」である)が理想とするものは、人間としての原点回帰と解放であることは論を俟たない。
そのようなお店のあった場所は聖地というべきであろうし、「原点回帰」を目指すスカーレット東京にも相応しい場所だろう。
そうであればこそ、私は「カップル遊びの民」と、シオニズム319世紀末、ヨーロッパで始まったユダヤ人国家建設を目ざす思想および運動。シオンは聖地エルサレム南東にある丘の名。ユダヤ人がその地を追放されて離散の歴史をたどるという『旧約聖書』の記述中の「シオンの地」は、宗教的迫害を味わってきたヨーロッパのユダヤ教徒にとって解放への希求とあわさって象徴的意味をもっていた。(日本百科全書)の果てにイスラエルを建国し、長い時を経て祖国へ帰ったユダヤの民の姿とを重ね合わせずにはいられないのである。
ところで、浜名湖の一件で主催者はこう証言している。
「ハプバーは乱交パーティと同じで変態の純度が低く、客質も悪い一面がありましたからね。」
たしかにサークルのようなクローズドな空間に回帰することできるカップル喫茶とは異なり、店舗という形態でしか関係が成立しえないハプニングバーの純度は高くない。
作業仮説の段階ではあるが、2000年に誕生したハプニングバーはインターネットの普及と切っても切り離せない関係にあるように思う。
Webで存在をPRすることにより多くの単独男性を引き入れることにより成立した業態であるように思えるからだ。
『ホームトーク』のような交際誌で同じ嗜好の人たちが集まってサークルやパーティなどの活動がベースにあったカップル喫茶とはルーツが異なるのである。
だから、交際誌『ホームトーク』の前身となった『全国交際新聞』の発行が1971年、カップル喫茶の誕生が1992年の大阪鶴橋であったにも関わらず、ハプニングバーの誕生が2000年とずっと遅いのは、インターネットの成立を待つ必要があったからであると考えられるのだ。
この仮説を私は「ハプバーWeb起源論」と呼びたい。
(ハプニングバーのルーツとなった「グレイホール」のような変態バーは1990年代初頭より存在していたが、これは別途検討したい。)
さて議論を本論に戻すと、スカーレット東京は原点回帰を目指し、純度の高いカップル遊びを嗜好する人たちに向けたお店だ。
その場限りの相手をSNSで見つけ、興味本位で足を踏み入れるような場所ではないのである。
スカーレット東京はカップル遊びの聖地となる——
最後に、まべなびに発表された同店の宣言を引用し、本稿の締めくくりとしたい。
世界に誇るJAPANESE SWING CLUBを目指す——
【追記】2023/01/21
スカーレット東京のWebサイトが更新され、27日のグランドオープン発表と共に、料金体系や営業時間などが公開された。
単独での来店が可能になるのでないかと予想していたが、入店はカップルに限定されていることから、オーソドックスなカップルバーとなりそうである。
入場料金は現時点で週末夜料金は、1万3千円となっており、同業態のオリーブ21よりは高く、新宿エリアのハプバーと同等の水準となっている。
特筆すべき点は、店舗の所在地である。
Webサイトの「アクセス」の項目には、具体的な場所は記されておらず、指定場所より電話で問い合わせるよう指示があるものの、サイト内の別の箇所には、建物名も含めた住所が記載されているのだ。
詳述は避けるが、以前に別のアングラ店が営業していた場所である。
仮にこの場所が正式な所在地であるとするなら、事情通であれば「100坪店舗」の仕掛けを想像することも出来るだろう。
「100坪とはそういうことだったのか」
と腑に落ちた人も少なくないはすだ。
またTwitterアカウントも作成されており、SNSマーケティングにどれだけ力を入れていくか注目されるところだ。
「あの空間にカップルだけを集客する」
これがスカーレット東京の課題だ。
スカーレット東京の新たな挑戦が始まる。
14年ぶりの出店
それは実に14年ぶりの出来事だ。
久しぶりにカップル喫茶の新店が東京にオープンするのである。
カップル喫茶が最後にオープンしたのは、2009年に五反田でオープンしたシルクが最後だ。

もっともカップル喫茶は以前より減少傾向にあり、現在は都内に2店舗しかない。

カップル喫茶を巡る歴史的な変遷について、以下のコラムに取りまとめたので、まずはご参照いただきたい。
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【ハプニング全史】カップル喫茶の受難史
100坪級の大箱
現時点でWebサイトに公開されている情報は、極めて限定的だ。
2023年1月下旬に歌舞伎町でオープンし、100坪級の大型店舗になるというファクトだけである。
料金体系や営業時間、そして店内構造も現時点では明らかになっていない。
したがってコラムで言及できることは限られよう。
だから、いま出来ることは以下のような問題提起しかない。
100坪を誇る大型カップル喫茶はカップルでいっぱいになるのだろうか?
実のところ、ハプバーとは異なりカップル喫茶の集客は極めて難しい。
なぜだろうか?
答えはシンプルだ。
カップル喫茶はカップルしか来店できないからである。
カップル喫茶とハプバーのユーザー層は異なるにせよ、ハプバーの男性ユーザーで、カップル喫茶に通うための女性パートナーを見つけることが出来る割合は2割にも満たないだろう。
前出のコラムをご覧いただきたいが、カップル喫茶は選ばれた人たちの遊びである。現在のハプバーのように広く門戸が開かれているわけではない。
オーナーの視点で考えれば、ハプバーもカップル喫茶も特有のリスクはある。
にもかかわらず、カップル喫茶はハプバーに比べて、集客は難しく、収益性も低い。
それがカップル喫茶が衰退した理由であるように思う。
2009年、四ツ谷カルチャーのクローズを契機に、カップル喫茶が築き上げてきた、目に見えない資産は継承されずに潰えてしまった。
新しい世代を取り込みつつ、カップル喫茶を甦られることができるのだろうか?
14年ぶりの出店となるカップル喫茶は、その試金石なるだろう。
【了】
【更新履歴】
2022/12/21公開