界隈向けサービス
もぐらが錦糸町に新たな歴史を刻む——
クローズ後のアフロディーテに、ノンハプバーもぐらが移転して以降、旧もぐら跡地の動向に注目が集まっていたが、このほどレンタルBARとして「イベントもぐら」がオープンすることがアナウンスされたのだ。
アナウンスの反響は大きく、予約も殺到しているようだ
イベントもぐらの画期的な点は何であろうか?
今回のコラムはイベントもぐらにフォーカスを充てることで、界隈の現況を考察していきたい。
イベントもぐらの強み
これまでにもBARスペースのレンタルサービスや、BARでの一日店長などのイベントはあったが、これらとイベントもぐらは何が違うのだろうか。
BARスペースのレンタルの場合、事前にレンタル料金を支払って参加者を募る。
参加者が少なければ主催者は損失を被ることになる。
一方、イベントもぐらは「赤字リスクなし」を謳っており、事前にレンタル料を支払うのではなく、主催者とイベントもぐらの間で、売り上げをシェアする形態となっている。DMで確認したところ、驚くべきことに、売り上げノルマすらないというのだ。
しかしそうであれば、一日店長のような既存BARのイベントと変わらないのではないかという気もするが、この点はどうだろうか。
たしかにレンタル料が不要という点はその通りなのかもしれない。
ただ一日店長イベントは開催タイミングが極めて限定されるし、店の看板を背負って営業するので、事前に店との関係性や相応の集客力が要求され、ハードルが高いと言える。
この点、イベントもぐらは、オープンなサービスであるため、利用するための敷居は相当に低いものと考えられる。
つまり、BARスペースレンタルのオープン性と、一日店長BARイベントの低コスト性を組み合わせたサービスが、イベントもぐらではないだろうか。
もっとも、このようなサービスが過去になかったのかといえばそうではない。
「エデン」というイベントバーが存在しているからだ。
しかし、同様のサービスが存在すればこそ、むしろイベントもぐらの特異点が浮き彫りになる。
イベントもぐらは独立してサービスを展開するのではなく、集客があってコミュニティが出来上がっているノンハプバーもぐらと隣接して営業しているという点がエデンとは大きく異なる。
実際に、ノンハプバーもぐらと連携するサービスも提供しているようである。
「もぐら」のブランディングで集客できる点は、イベント主催者にとっても大きな強みであろう。
ノンハプバーもぐらに通って、そこで仲良くなった人たちと、隣接した店舗でイベントを開くことができるからだ。
インフルエンサーの時代
ところで、SNSの時代にあって、アングラ界隈でも、インフルエンサーの方が店舗よりも発信力を発揮するようになっている。
たとえば、SNSでの集客に力を入れているお店でも、Twitterのフォロワー数は4千人程度であるにもかかわらず、アングラ界隈のインフルエンサーでは1万人を超すケースが珍しくはない。
そのような人たちに特化したイベントバーとしても、イベントもぐらは有用ではないだろうか。
週末や特定の曜日にだけ、どこかのBARにスタッフとして入ることで、時給を受け取るよりも、イベントもぐらで定期的に営業する方が実入りがいいと考えられるからだ。
つまり、BARをオープンしてオーナーになるつもりはないが、自身の集客力を考えれば、BARでスタッフとして働くのはもったいないと考えるインフルエンサーにとって、イベントもぐらは打って付けのサービスになる。
イベントもぐらは、インフルエンサーのための現実世界のプラットフォームになるだろう。
もっとも、Twitterで相互フォロー同士でオフ会を開こうとする場合、居酒屋などではキャパシティの問題や、出欠管理などの煩雑さが付きまとうが、そのような課題も、イベントもぐらでは解決できるかもしれない。
程よいサイズ感でキャパシティの問題は解決できるし、事前に厳格な出席確認を取る必要もないからだ。
有力インフルエンサーから、相互フォロワーの小さなコミュニティまで——
SNS時代に適したサービスが錦糸町から生まれる。【了】
【更新履歴】
2022/10/29公開