ノンハプバーもぐらの4周年記念に寄せて、コラムを執筆する。
今回のコラムでは、原点に立ち返り、「ノンハプバーもぐらとは何か?」という根源的な問いかけについて、考察していくこととしたい。
ノンハプバーもぐらは今から4年前に錦糸町にオープンした。当時の錦糸町といえば、ノーダウトやサキュバスなどのハプバーが4店舗も軒を連ねる競合エリアであり、そのような状況下でノンハプバーもぐらは、比較的コンパクトなスペースで、「ノンハプバーとは何か?」という疑問とともに誕生したのである。
その後のノンハプバーもぐらは、2022年7月末にアフロディーテのクローズに伴い、その跡地に移転しリニューアルオープンして集客力を加速度的に付けたが、「ノンハプバーとは何か?」という疑問は未だに解き明かされていないのだ。
そのような状況を踏まえて、冒頭で述べたように、今回のコラムではノンハプバーの意味するところや、その意義について深く考察を試みたい。
まずノンハプバーという言葉を辞儀的に解釈すれば、ハプバーではないという意味である。そうかといって、単なるバーであるのかといえば、明らかに一般的にバーとは異なる。
つまり、ノンハプバーもぐらとは、一見矛盾するようであるが、ハプバーでも、バーでもない空間であると解釈できるのである。
ところでノンハプバーもぐらが話題になったことで、ハプバーをイメージさせるアンダーグラウンドなコンセプトを売りにしたバーが連鎖的に誕生したが、結局のところは普通のバーとして落ち着いている。
それとは別にコスプレや連れ出しをアピールしているバーも存在するが、コスプレや連れ出しもあるノンハプバーもぐらは、コスプレバーや連れ出しバーというカテゴリーには回収されていない。もぐらはノンハプバーであると同時に、もぐらだけがノンハプバーであるのだ。
ここで新たな疑問を提起したい。
なぜもぐらだけがノンハプバーなのだろうか。
その秘密はオープン当初のコンセプトに秘められている。
つまりノンハプバーもぐらは、既存のハプバーのアンチテーゼとして生まれたと考えられるのである。
既存のハプバーを否定する意図から、いささかシニカルにノンハプバーと名付けられたように思えるのだ。既存のハプバーを脱構築し、オルタナティブなハプバーを創造するという理念から、ノンハプバーもぐらは誕生したのである。
そのようなコンセプトのもとに生まれたノンハプバーもぐらは、ビジネスを意識した店舗としてのスペースではなく、コミュニティや運動体という捉え方が適切なのかもしれない。そういったノンハプバーもぐらの試みが成功したか否かは、現況の錦糸町を鑑みれば明らかであるだろう。
ノンハプバーもぐらを模した店が出現しない理由は、このようなオープン当初の理念にあるのだ。
もっとも錦糸町では、この3月にノクターンという新しいお店が生まれる。
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【週末1万円】錦糸町ノクターンの「選択と集中」
ノクターンはアンダーグラウンドへの期待値と価格設定がアンバランスになったことを背景に、新しいスタイルのお店が勢力を付ける中、週末の入場料を1万円にすることで、再びにハプバーをアンダーグラウンドの中心に戻そうとする意欲的な新店である。
それだけではない。ノクターンからは、既存のハプバーを脱構築したノンハプバーもぐらと共通した理念を感じるのだ。
つまりノンハプバーもぐらはハプバーの外側から、ノクターンはハプバーの内部から、既存のハプバーを脱構築することで、新たなコミュニティを立ち上げようとしていると考えられるのである。
上記の議論を踏まえて、そろそろ「ノンハプバーもぐら論」の締めくくろう。
ノンハプバーもぐらとは、既存のハプバーを脱構築し、アンダーグランドにオルタナティブなコミュニティを立ち上げるための運動体である。周年ウィークを設けて、その期間の平日2000円、週末3000円という利益を度外視した入場料にしたことはもちろんのこと、周年イベントに元スタッフが多数集結するような絆の強さは、ノンハプバーもぐらが単なるビジネスではないという証拠であろう。
さて、ノンハプバーもぐらがオープン4周年を迎え、新店ノクターンも3月にオープンする。ようやく錦糸町に明るい話題が続くようになった。
ノンハプバーもぐらの4周年を祝して、そろそろ筆を置くことにしよう。
オープン4周年おめでとうございます。
【了】