追記(2023/03/18)
渋谷ロシナンテの3月末でのクローズが発表されたことに伴い、以下のコラムを公開させていただきました。
-
-
【追悼文】渋谷ロシナンテのクローズについて
Web人気ナンバーワン
9月にレンタルサーバを契約して以降、GoogleAnalysticsで読者の動向を分析しながら、コラムを執筆してきた。
PV数の増減もさることながら、もっとも注視している指標は、どのような検索キーワードで、このサイトにたどり着いたのかという指標である。
というのも、サイト公開当初は、ほとんどがTwitterからの流入であったが、現在はGoogle検索からの方が主流となり、どのような検索で当サイトがGoogleに表示されるのか、そして何番目に表示されるのかが、重要になってきたからである。
いわばGoogleのご機嫌を伺いながらコラムを書いているという側面もある。
世間ではそれをSEO対策と言うようだ。
では、Googleがお気に入りのキーワードは何か?
クエリ | 表示回数 |
渋谷 ロシナンテ | 855 |
錦糸町 ハプニングバー | 539 |
ハーネス東京 上野 | 532 |
パピヨン ハプバー | 379 |
秋葉原 ハプニングバー | 347 |
Google Search Consoleで、28日間の検索クエリのランキングを調べると、実のところ「渋谷 ロシナンテ」の検索が圧倒的に多いのである。
2位の「錦糸町 ハプニングバー」は、以下のコラムが常に人気記事の上位にあることから納得がいく。
-
-
【錦糸町】変態バーから大箱SMバーまでの20年史
しかし、渋谷ロシナンテのコラムがランキングに掲載される機会は少ない。
「到底納得できない」という声が聞こえてきそうである。
-
-
【到底納得できない】新宿5丁目のブレイキングダウン
なぜだろうか?
状況に応じて、リアルタイムにロシナンテについて書くことに注力した結果、コラムの数が増えて、閲覧者が分散してしまったからだ。
Google検索での関心の高さを考えれば、ロシナンテについて誰にでも興味を持ってもらえるコラムを書くことは、私のミッションであるように思う。
だから、これからお店に行こうと思う人のニーズに100パーセント応える文章を書こうと思う。
コラムに文学作品や映画のストーリーをコラムを絡め合わせたり、難解な概念を持ち出して衒学的な議論を展開することも、今回はない。
もちろん、アンダーグラウンドの歴史について持ち出すこともない。
今の視点で新しい店を紹介するという、もっともシンプルでクリーンなコラムになる。
フェティッシュバー+レンタルルーム=?
ロシナンテはいわゆる「フェティッシュバー」である。
私なりの解釈に過ぎないが、フェティッシュバーとは、コンプライアンスやレギュレーションの範囲内で、セクシャリティをオープンにしたり、センシティブな表現やコミュニケーションが許容されたバーだ。
入場料さえ払えば、お酒は飲み放題だし、コスプレを楽しむことだってできる。もちろん時間制限はない。
そしてロシナンテの特徴は、建物内にVanvyというレンタルルーム店が併設されて営業している点にある。
つまり、見ず知らずの人たちとロシナンテで会話をして、お互いの同意のうえで、建物の外を出ることなく、そのままレンタルルームで秘密の時間を過ごすことができるのである。
完全に新しい形態のお店であるし、新しい遊びやコミュニケーションでもある。
最大面積・最高立地
ロシナンテは2022年8月5日にオープンした新しい店だ。
場所は渋谷の道玄坂。
日本で最大規模の店舗面積を誇り、最高の立地条件にある。
駅からの距離は5~7分程度といったところだ。
駅からは近いわけではなく、経路も複雑だ。
しかし、それは渋谷にあるほとんどすべての店に共通した特徴である。
渋谷は駅から少し離れた場所に商業施設を開発し、大規模な開発が難しい起伏が激しい地形に小さなお店が乱立しているからだ。
その意味でロシナンテは、渋谷のイメージそのものだ。
東急百貨店(本店)を目指し、東急百貨店の建物を右手に歩いて、ファミリーマートが見えたところで、ファミリーマートを背にして、そこから見える商店街の通り(ランブリングストリート)をまっすぐ歩いていけば、ロシナンテの看板が見えてくるはずだ。

ロシナンテの最大の特徴は周辺環境である。
ロシナンテはランブリングストリートと呼ばれる通りを少し入ったところにあるが、そのまま通りを行けば、Club AsiaやO-Eastなどのクラブやライブハウスが密集するエリアがあり、通りのわき道を入って見えるロシナンテより先は、ラブホテル街なのである。
ラブホテル街とクラブ街の入り口のような場所に、ロシナンテはある。
このように店の周辺環境をわざわざ説明したのは、それが店の雰囲気を伝えるのにもっとも効率的だと考えたからである。

店の雰囲気も渋谷のバーとクラブを組み合わせたような雰囲気であるし、様々な人たちがいるが、客層もそれに準じたものだ。
年齢層は、この手のアンダーグラウンドなお店のなかでもっとも若い。
蛇足ではあるが、コラムのタイトル「渋谷ロシナンテのすべて」も、フジファブリックの「若者のすべて」をイメージしたものだ。
高いが、安い
入店料は、その他のアンダーグラウンドなお店より、おそらく2,000~3,000円程度高い。
しかし、それは表面上の問題に過ぎない。
なぜなら、ロシナンテ以外のお店は、焼酎割り以外のお酒は有料であることが多いからだ。
ロシナンテの場合は、生ビールやコロナビールのような瓶ビール、そして、テキーラのようなショットまでが自由に飲めるのである。
お店に入ったら、自分の好きなタイミングでお酒をオーダーすればよい。
女性におごる必要もなければ、スタッフにキャストドリンクを入れる必要もない。
だからといってお酒を飲む必要もない。
店の中では、外のことを忘れて、自由にふるまえるようにするためのお店の配慮だ。
そして、最大規模の面積であり、最高の立地にお店は存在する。
その分、賃料や人件費もかさむと考えればやむを得ない部分もあるだろう。
最高の立地、最高のサービスという意味では、銀座のお寿司屋さんをイメージすれば分かりやすいのかもしれない。
しかし、ロシナンテの場合、銀座の名店のように、世間より値段が3倍高いということはない。
サービスもよく、2,000~3,000円程度高いだけだ。
そして、営業時間は17:00~翌6:00と、実に12時間以上も店に滞在できるのである。
例えば、渋谷で飲み屋をはしごして後、クラブで遊んで、その後ラブホテルに行った場合の費用と比べた場合と、ロシナンテで遊んだ場合とで、費用に大きな違いはあるのだろうか?
答えは明白だろう。
ロシナンテは密室かつ定額で、そのような遊びを楽しむことができるということなのである。
ロシナンテは高いが安い。
これが結論だ。
戦い方は自由だよ
「戦い方は自由だよ」
そのような言葉で出迎えてくれるうどん屋が、埼玉県にあるという。
ロシナンテにこそ相応しい言葉であるように思う。
たしかに仲間と飲み会を開いて、クラブに流れて、ラブホテルで一夜を明かすような遊び方も刺激的だ。
しかし、ときには普段の人間関係から離れて、自分だけの秘密を、限られた空間で、偶然その場にいた人たちだけと共有する楽しみがあってもよいのではないか。
ロシナンテはそのような遊びが実現できるお店だ。
異性と来店しても、店内での過ごし方を制限されることはない。そしてスタッフも一般的なバーと同じように、いやそれ以上にフレンドリーだ。
ロシナンテは社会だけではなく、過去のしがらみからも完全に解き放たれているのである。
人は欲望のままに、もっと自由になれる——
そしてオープン3か月にも満たない、渋谷の新しいお店からは、次のような声が確かに聞こえてくる。
クラブ街やラブホ街の喧騒にも負けない力強さで——
戦い方は自由だよ。【了】
【公開履歴】
2022/12/01公開