華麗なる歴史を辿る(2024/05/08追記)
この場をお借りして、新宿440のオーナーに陳謝したい。
様々な事情により、婉曲的に新宿440の名前を出すときの呼称が、従来の「サラダバー」から「カレーの所」へと変わってしまっているからである。
新宿440のカレーについて、日々コメントを重ねていったことが原因であるとの指摘があれば、これは甘んじて受けざるを得ない。
改めて言おう。以前にもコラムで書いたとおり、新宿440の店名を暗に仄めかすときの表現は、「サラダバー」である。
新宿440はオープン当初よりブッフェが提供されていたが、なかでもサラダバーを売りとしていたからである。
今回のコラムでは、曖昧な記憶を頼りに、新宿440のメニューの変遷を辿っていくこととしたい。そのため正確性については、予め斟酌いただければと思う。
新宿440はオープン当初より、ブッフェのあるバーとして話題になっていた。今では当たり前だが、アンダーグラウンドと食事という取り合わせは、その当時しては斬新なコンセプトであった。
記憶が定かではないが、当時のメニューについては、セルフで海鮮丼が作れるようにお刺身が数種類あり、カレーとその他の惣菜が数種類あったような気がする。これに加えて、自家製ベーカリーのパンも用意されていたのである。もちろん現在でも好評のサラダバーほか、自家製プリンなどのスイーツも提供されていたのである。
オープン当初より、ホテルのブッフェと同等、あるいはそれを凌ぐクオリティの食事が用意されていたことを考えると、今となっては驚嘆という表現しか見当たらない。
カレーについても、最近では目の当たりにすることのない、バターチキンカレーもあったような気がする。
おそらく食材の高騰により、ブッフェの内容が変わったのは、コロナが契機ではないだろうか。
コロナ禍では昼営業に力を入れており、ランチとして、グリーンカレーとチキンカレーが提供されていた気がするのだ。
その後は、夜のブッフェで海鮮丼と自家製ベーカリーのパンが惜しまれながら姿を消し、現在に至っているという認識である。
その他には、ある時期は殆ど毎日のように出ていたグリーンカレーがレアメニュー化するなどの変更点はあるが、サラダバーについては、元々の姿を頑なに守り続けているのである。
以上が新宿440のブッフェの変遷である。記憶のみで記述しているので、不正確な部分も多いが、ご容赦いただきたい。
このような豪華な食事以外で驚くのは、カップルラーメンまで用意されているということだ。更なる欲求を追求する人たちがいるという証左であろう。この点は新宿440がホテルのブッフェではなく、あくまでアンダーグラウンドであることを実感させるエピソードである。
そして現在の新宿440は、食材高騰のなか、可能な限りメニューを維持するだけでなく、数量限定でスペシャリテを提供するイベントまで開催しているのだ。この場において断定することは避けるが、スタッフにプロの調理人を擁していると考えるのが自然である。
このように食にフォーカスを置きながらも、地下特有の雰囲気を未だに色濃く残しているのが、新宿440の大きな特徴であり、集客の強みでもある。
最後に日々のカレーばかりが注目されるが、サラダバーに力を入れているということを、あらためて申し上げたい。
新宿440はカレーの所ではなく、サラダバーなのである。
それともう一つ、グリーンカレーだけではなく、麻婆豆腐にも根強いファンがいることを言明したい。
麻婆茄子ではなく、あくまで麻婆豆腐である。
追記(2022/12/24)
まさかの出来事が起こった。
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【実況解説】第4回 東京ハプバーランキング
相葉たつやプレゼンツの「第4回 東京ハプバーランキング」にて、440が予選敗退したのである。
上野のハーネス東京と72時間にも渡る接戦を演じ、僅かに及ばなかったのだ。
三回連続で準優勝した同店が予選で姿を消すという事態に、界隈は騒然とした。
そのような番狂わせだったのである。
もっともハーネス東京は、Webマーケティングに積極的であり、Twitterで本日のブッフェメニューしか配信しない同店とは対照的だ。
Twitterで人気を決めるというランキングであるにもかかわらず、ハーネス東京と互角に渡り合った同店を真の実力者だと見る向きも多い。
Webマーケティングをしないというスタンスを貫き通すことで、むしろ440は店の価値を高めたようにも思う。
逆風に立ち向かった440に最大の賛辞を送らせていただきたい。
以下に続く、コラム本文はそのような文章になっている。
「440は何にも負けていない」
きっとそう思えるはずだ。
ご覧になって、お店に足を運んでいただくきっかけになれば幸いである。
最後の店舗紹介
新宿のお店を関するコラムは今回が最後になる。
(その後に新宿に出来た、エンカウントを紹介したのでこれは誤りである)
最後に紹介するお店は440だ。
なぜこのお店を選んだのかという理由は、コラムを最後までご覧いただければご理解いただけると思うし、それを伝えることが本稿の目的でもある。
ところで、なぜお店を紹介することに前向きではないのか?
実のところ、440を取り上げるのも躊躇するところがあった。
理由は明快だ。
お店の性質上、SNSやBlogなどのWebで露出することを望んでいないケースが多いからだ。
少し古いお店あれば当然のスタンスであって、440もそのようなお店のうちの一つであると考えている。
だから、お店を網羅的に紹介するデータベースを構築するではなく、私自身の視点で選択・編集したものを取り上げるキュレーションを行ってきたのである。
もちろん、ここで紹介されてないからといって、お店のとしての価値が低いわけではない。
評判がよく集客力あるお店はもっと存在するからだ。
改めて記すが、Twitterで情報を発信しないなど、露出を制限しているお店については、紹介を控えているということである。
そのことを踏まえて、フォロワーをフォローバックしたりリプライすることはないものの、一応Twitterで情報発信をしている440は、悩んだ末にコラムで取り上げてもよいと考えた次第だ。
なぜサラダバーか
前節ではコラムの目的について記したが、本節ではお店について概要的な説明を行おうと思う。
タイトルにもあるように、440はサラダバーとも呼ばれる。
それは以下のような背景が関係している。
店内で他店の話をする場合は、店名をそのまま口に出すのは周囲に差し障りがあるので、慣行的に隠語が用いられる。
前回採り上げた九二五九は「数字の店」と呼ばれることが多い。
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【もう一つのレクイエム】九二五九と10辛のアンダーグラウンド
しかし、440の店名も同じく数字だ。
後発であることから、440については「サラダ」と呼ぶ。
440がブッフェを提供していて、そこのサラダバーがあるという単純な理由である。
Twitterのアカウントでも、「サラダバー」を自称しており、何かを揶揄するような意図の言葉ではない。
続いて、同店の営業期間とオープン当初の状況について解説していきたい。
440は2016年のオープンし、今年2022年に6周年を迎えたところである。
長いお店という印象を受けるが、新宿にあってはようやく「若手」から抜け出したというイメージであろう。
なぜかといえば、新宿には20年以上営業を続けるお店が多いからだ。
変態バーではあるが、マーキス東京は1998年オープン、店名は変わっているが、Purety one GRADEは1999年オープン、カップル喫茶のOlive21も1990年代オープン(オープンの年をご存じの方の情報をお待ちしております)、変態バーのNeoアジトは、同所にカップル喫茶として始まった藍の森は2002年オープン(名前や業態は数度変わっている)、Cross Season IIは前身Cross Seasonのオープンは2002年、Happyは新宿区内での移転を挟むが、2002年オープンとなっている。
実に新宿では7店舗がオープン20年超の老舗となっているのだ。
それ以外にも、G★Rstarが2006年オープン、リトリートが2009年オープン、九二五九が2010年オープン、アラベスクが2011年オープン、先日移転したブリスアウトが2011年オープン、カラーズは前身となるトゥルーカラーズが2012年オープンとなっている。
現在営業中の店の中で、その次にオープンしたのが、2016年オープンの440であり、それ以降は2018年にアグリーアブル、今年2022年にオフホワイトとウベアがオープンしているのである。
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【リニューアル】新宿オフホワイトのリブート宣言
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【百人町の“O”】ウベアの半年と台湾カステラ
そう考えると、2016年オープンであっても、新宿にあってはまだまだ新しい部類なのである。
新宿という場所は、短期間でクローズする店も多いが、軌道に乗せば長期間することが可能な土地柄でもあるようだ。
続いては所在地である。
同店は歌舞伎町に位置する、正確な住所は公開されていないが、風林会館近くのセブンイレブンから電話をするようにWebに記載があることを考えると、風林会館の近くに所在すると考えてよいだろう。

区役所通りを直進すると見えてくる風林会館は、歌舞伎町を象徴するかのような異様な存在感をもった建物である。
周囲にはラブホテルやホストクラブが点在し、アングラ感が漂う場所でもある。
そのような雰囲気が苦手な人は、区役所通りではなく、ゴールデン街と花園神社に挟まれた道から、店に向かうことをお勧めしたい。
歌舞伎町の良心
不夜城、歌舞伎町のど真ん中に440はある。
様々な欲望が渦巻き、売上に凌ぎを削る夜の世界だ。
しかし、同店は良心の塊のようなお店であると思う。
週末料金が11,000円(執筆時点)であることに加えて、ブッフェ(どの料理も美味しい)が用意されているほか、生ビールを含むアルコールも10杯まで無料であるからだ。
よりたくさんの人にお店を楽しんでもらいたいという、オーナーの心遣いであるよう思う。
たとえば、2022年現在、440のようなお店が出店する可能性や実現性があるかといえば、ほとんど現実的ではないと私は思う。
そのぐらい現在の状況は変化しているからだ。
Webマーケティングもしない、イベントも開催しないなど、かつて当たり前であったことを実践しつつも、若い世代を中心に確実な集客力のあるお店が440だ。
もしかしたら、440のようなスタイルは最初で最後になるのかもしれない。
そうであればこそ、お店の良心を傷つけるような行為はしてはならないと、強く思うのである。【了】
【更新履歴】
2021/11/29