追記(2023/12/06)
昨日、新宿オフホワイトが「チバユウスケ追悼イベント」を緊急開催した。
運命の悪戯だろうか。新宿オフホワイト店長の誕生日がチバユウスケの命日となった。
チバユウスケがリーダーを務めるバンドの名前が「The Birthday」であったことを考えると、新宿オフホワイトとチバユウスケとの間には、何かの縁(えにし)があるような気がしてならない。
ところでチバの唄から伝わってくるのは「衝動」であるように思う。「現状に対して何か行動を起こせ!」というメッセージが攻撃的なサウンドと一体化し、リスナーの心に突き刺さる。しかしそうでありながら、チバは繊細であり、ときに内省的な一面を覗かせる。そのような極端な矛盾こそがチバの魅力である。チバの衝動に感情を揺さぶられた人間として、そう感じているのだ。
思えば、新宿オフホワイトから感じられる空気も、「衝動」に満ち溢れている。チバユウスケ追悼イベントの開催も、チバの死去が発表されたことを受けて、とっさに発表したものであろうことは、投稿時間から容易に想像できる。極めて衝動的だ。
そしてお店のこのようなスタンスは、以下の投稿を見ても明らかである。
もしかしたら、新宿オフホワイトのリニューアルオープン自体も衝動に突き動かされて、実現したものではないだろうか。
何の根拠もなしに、そのように夢想してみるのも面白い。
しかしそうであっても、新宿オフホワイトから伝わってくるものは、チバが残したメッセージそのものであると思わざるを得ないのだ。
内発的な情動こそが世界を変える。
それこそがチバが我々に託した言葉ではないだろうか。
いまアンダーグラウンドに欠けるものは、まさに内発的な情動から生み出される衝動であるように思う。衝動こそが、偶発性の名の下に現実の非日常を生み出すのではないか。
そして新宿オフホワイトが目指すものは、衝動と偶然が非連続に交錯する非日常の空間を、我々の手に取り戻すための長い闘いなのではないだろうか。
俺は決めたんだ あのクズ共から 世界を奪い返すって
それで青に還すんだその後でお前を根こそぎ抱きしめてやる
天使が消えたんだ 俺らの街から
だから奪い返すって それで青に還すんだその後で抱きしめてやる
抱きしめたい / The Birthday
昨晩はひとりで「薄いビール」を飲み干しながら、そんなことを考えた。静かな衝動と共にーー
アップデートではなくリブート
本気と書いて「マジ」と読む。
そんな言葉があるが、リニューアルを発表した新宿オフホワイトはマジである。
それはおよそ一年ぶりに店を再開させるという意味でのリニューアルオープンではなく、スタッフがブレインストーミングによりアンダーグランドの新たなフォーマットを提示した上で店を再開させるからである。
これはシステムのアップデートではなく、完全なリブートである。つまり、実質的にまったく新しいお店が誕生すると考えていいのだ。
そうであれば、過去のコラムに稿を重ねるのではなく、新たなコラムを執筆するのが適切だろう。新宿オフホワイトが本気であれば、私も本気で筆を取らなければならないのだ。
今まで同店について記したコラムはすべて忘れて欲しい。
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【リニューアル】新宿オフホワイトのリブート宣言
新規千名いくまで、いつでも、誰でも、何度でも、一万円で遊べちまう
まずはコラムのタイトルにあるように、リニューアルオープン記念として、新宿オフホワイトは大胆なキャンペーンを行う。一万円で入店できるという前代未聞の大盤振る舞いを展開するのである。
大幅な値下げ
続いて値段も大幅に見直される。
従来のプレミアム路線からの大幅転換であると考えていいだろう。Z世代を取り込もうという野心を感じるのは私だけではないだろう。
女性料金体系の改革
物議を醸し出しそうなのは、女性の料金体系である。既存他店のように、掲示板の書き込みだけで無料とするのではなく、いくつかの条件を達成しなければ有料となるのだ。
それは実質的にSNSでの来店予告を義務付けるという、大胆な方針である。
そのうえで従来どおり、SNSでの連絡先交換については、スタッフの立ち会いによる許可制となっているのだ。
現状を考えれば、ほとんどの店はSNSを運用すると共に、ほとんどのユーザーもSNSを使用して、店舗のアカウントをフォローし、いつでもお客同士は自由に繋がることができる状況にある。
にもかかわらず、お店もSNSをプロモーションに利用している手前、連絡先交換と変わらないSNSでの繋がりをグレーゾーンとして、黙認しているケースが多く見られるのだ。
新宿オフホワイトの場合、グレーゾーンを撤廃し、SNSを最大限に活用する方針に振り切った。お店の名前のどおり、SNSを黒に近いグレーから、限りなく白に近いオフホワイトとしたのである。
SNSに寄り添った店の方針に疑問があれば、そもそもSNSを利用していない店に行くという選択肢もあるだろう。
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【歌舞伎町新店】ボラプチュアスは官能に溺れる
実際に新しくオープンした新宿ボラプチュアスは、現時点でSNSアカウントを開設していない。
新世代のアンダーグラウンド
今年の新宿では、九二五九やブリスアウトが役割を終え、世代交代が一気に進んだ印象を受ける。
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【もう一つのレクイエム】九二五九と10辛のアンダーグラウンド
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【アングラ建築論】ブリスアウトの移転について
他には大型店のスカーレット東京がオープンし話題になったり、かつては新勢力であった新宿440が8年目の営業に入り、老舗格の人気店になるなど、状況は目まぐるしく変化している。
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【歌舞伎町の良心】サラダバー440を完全解説
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【14年ぶりのカップル喫茶】スカーレット東京、新宿にオープン
特に新宿440については、「2大わいわい系」として、西の新宿440、東の上野パピヨンと呼ばれるようになっている点は特筆に値する。
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【愛妻家】パピヨン阿部店長はハプバーの未来を見据える
このような変化のなか、一年ぶりに営業を再開するオフホワイトは、九二五九やブリスアウトのように時代に抗うのではなく、積極的に時流を掴むという選択をとった。
それは若い世代を取り込むため価格を下げるとともに、SNSを活用してZ世代にアプローチし、さらに単なる飲み屋にならないよう、本気の女性だけに集客を絞り込むという施策を採用したのである。
こうして執筆している最中も、新宿オフホワイトのスタッフはブレインストーミングによって、新たな戦略を検討しているに違いない。
最後に改めて言おう。
今度の新宿オフホワイトは本気である。
お店が本気になれば、お客さんも本気で遊ぶ。
それが「新店」オフホワイトの本気論である。
【了】