【2022/06/09追記】
HPに営業再開準備中である旨がアナウンスされた。営業再開は確定的になったと考えられる。

SB摘発事件が終結した。
東京地裁において、公然わいせつ罪の幇助により、店長に罰金刑が言い渡されたのである。
しかし、そんなことよりも、店長がツイートで元気で姿を見せたことに安心した人も多いはずだ。もちろん私もその一人である。
ところで今更ではあるのだが、SB摘発事件をコラムに取り上げるのは、どうも気が引ける部分があった。それはパピヨン阿部店長がツイートするところと同じである。
しかしながら、こうしてコラムを執筆している以上、本件について沈黙するわけにもいかず、事実関係の説明や法律的な視点での解説など、有益な情報にのみ限定してお伝えする方針としたのだった。
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特に公然わいせつの「公然性」に関するコラムは、私自身にとっても勉強になり、有意義な内容になったと自負するところである。
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今回は一連のコラムの最終回として、前半では刑法と刑事訴訟法の条文を引用しながら判決について解説し、後半では再オープンの可能性について検討していきたい。
まずは前半の判決について考察していきたい。
罰金刑という今回の量刑は妥当なものであったと思う。
初犯であることはもちろんのこと、幇助犯であり、公然わいせつ罪の法定刑も重くないからである。
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法 第174条
正犯を幇助した者は、従犯とする。
刑法 第62条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
刑法 第63条
しかし、予想外だったのは略式手続きによる命令ではなく、公判が開かれて判決が下された点である。
簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
刑事訴訟法 第461条
なぜ、本件が略式手続きではないと言えるのか。
それは、略式手続きであれば、東京簡裁であるはずなのに、店長のツイートでは、東京地裁により罰金刑が言い渡されているからだ。
逮捕されたのが5月7日(土)であることを考えると、逮捕から判決までの期間が短いことから、即決裁判手続きによって、即日判決が下された可能性が高い。
検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。
刑事訴訟法 第350条の16
これは何を意味するのであろうか。略式手続の場合は科刑制限により、量刑が罰金・科料に限られるが、即決裁判手続の場合は、懲役・禁固の言い渡しも可能である。
(ただし執行猶予となる)
しかし、判例とのバランスを考えると、懲役・禁錮刑にする意図が検察にあったとは考えにくい。
書面審理による略式手続ではなく、即決裁判手続で公判請求した理由はおそらく以下のとおりである。あえて公判(裁判)を開くことによって、「お灸をすえる」という、検察の思惑があったのではないかと推測する。
もっともツイートでは言及していないが、逮捕後に検察へ身柄を送致されて、勾留されたのかどうかも重要なポイントである。
実は警察の逮捕によって、被疑者の身体を拘束できる期間は48時間に制限されている。全件送致主義(微罪処分という例外はある)といって、原則として、警察は全ての事件を公訴権(裁判を起こす権利)を有する検察官に引き継がなければならない。つまり、逮捕から48時間以内に、保釈して検察官に事件を引き継ぐか(在宅事件)、身柄を検察官に送致するか(身柄事件)とするかを決めなくてはいけない。報道で書類送検(法律用語ではない)と言っているのは、被疑者を保釈して、検察官に事件を引き継ぐため措置を意味している。
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
刑事訴訟法 第203条
警察が身柄を検察官に送致した場合、検察官は引き継ぎ身体を拘束する必要があるかを判断して、必要と認める時は裁判官に勾留請求状を提出する。
検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
刑事訴訟法 第205条
前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
刑事訴訟法 第208条
② 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。
法律に関する説明が長くなったが、果たして店長は逮捕後に検察官に身柄を送致されたのだろうか。推測の域を超えないが、その可能性が高いと考えている。さらには、その後は検察官により勾留請求され、それなりの期間に渡り。身体を拘束されていたものと考えられる。なぜそのように考えられるのか。
それは逮捕直後の報道によれば、当初は公然わいせつの容疑を否認していたからである。勾留の要件ではないが、事件を否認した場合は、証拠隠滅の虞があると見做されて、長期間勾留される可能性が高いのだ。
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
刑事訴訟法 第60条
そう考えると、勾留中に方針をして保釈後に、検察官が即決裁判手続きにより公判請求し、5月26日(金)に東京地裁で即日判決で罰金が言い渡されたのではないか。
店長は勾留されるために、敢えて、当初は事件を否認したのではないだろうか。何の根拠もないが直感的にそう思えるのである。
上記の仮定が前提であるが、逮捕後に容疑を認めて自白すれば、48時間以内に釈放される可能性があったのに、何故わざわざ拘置所に入ったのか。
SBの店長は究極のドMであると考えればそれまであるが、これは何かのメッセージではないだろうか。この点は、この後に続く後半のパートで詳しく説明したい。
続いては、本題の再オープンの可能性について考察していこう。結論から言うと、以下の理由により、再オープンの可能性が十分に高いと考えている。
- 摘発後に再オープンするケースがある
- 不動産の問題
- 店長のツイート
一つずつ解説していこう。
- 摘発後に再オープンするケースがある
2017年10月24日の摘発によって閉店してしまったが、私のハーモニカは、同じ建物にあったKUNKUN摘発後(2014年5月14日)、三ヶ月ほどでオープンしている。
ハニートラップも、2015年3月15日に摘発されたダークナイトの実質的な後継店である。
このように摘発後に、店名を変えて、再オープンするケースは珍しくない。人気店であればなおさらである。
- 不動産の問題
ラブホ街のビル一棟をどうするのかという問題である。SBの建物は元々ラブホテルである。条例によって、渋谷でラブホテルを新規にオープンするのは無理である。そうかといって、場所柄、その他の業態にビルを一棟貸すのは難しいのではないか。結局のところ、ふたたびハプバーを営業する他ないのではないか。
- 店長のツイート
ツイートをご覧いただきたいが、名前の前に「眠れる森の美女」が付いている点に注目したい。それだけではない、前半でも解説したとおり、当初は容疑を否認し、否認事件として、公判が長引くことを予感させていたが、結局のところ、即決裁判手続きを受け入れて、即日判決となった点である。当初から摘発されたとしても、①と②の理由により、再オープンする気があり、アピールとして逮捕時は容疑を否認したものの、すぐに再開するために、即日判決で終わらせたのではないだろうか。
後半は駆け足になってしまったが、SB再開の動向については、今後も注視していきたい。
個人的には再開して欲しいが、店長が「眠れる森の美女」の名前で、元気そうな姿やツイートしてくれたのが、何よりも嬉しかったのであった。
【2022/06/04追記】
店長以外のスタッフが、被疑者として勾留されていたことを示唆するツイートをしていることから、店長も検察により勾留されていた可能性が高い。
また、Twitterアカウントの生きており、返信も行なっている。

さらに、コンテンツが消去されているだけで、Web自体にはアクセスできる。ドメインも所有しており、サーバのホスティング契約も継続しているということだ。

以上の事実により、SBが再オープンする可能性は相当に高いものと考察している。
【了】
【履歴】
2022/05/31公開
2022/06/04更新
2022/09/10新サイト転載