地下の楽園
横浜の関内に、イタリア語で楽園を意味する「Paradiso」というお店がオープンする。
Paradisoは英語ではParadiseであるが、古代イランの言語を起源としており、語源は以下のとおりである。
pairi-(周囲に)+ -diz((壁を)作る)と成り立ちを持ち「壁に囲われた」という意味である
Wikipedia
ラテン語やギリシャ語などの多言語に流入する過程で、公園や果樹園などの意味に派生していったが、原義は「壁で覆われた場所」であるり
つまり、古代においては、他者から干渉をつけない場所こそが楽園だったと、今になっては考えられるのである。
Paradisoは、ギリシャ語訳の旧約聖書でも楽園を意味する言葉として使用され、聖書に登場する「エデンの園」により、果樹が実っている豊かな場所というイメージが強くなった。
しかし、現代に置き換えてみれば、古代に使用されていた「他者から干渉を受けない場所」という意味合いの方がむしろ適切なのかもしれない。それは今やフルーツはスーパーに行けば手軽に手に入るからである。
つまり、現代においては、秘めたる欲望を開放できる場所こそが楽園なのである。
しかし、いまや楽園は聖書が記された時代のように天空ではなく、地下に存在するというのが、現代の皮肉である。
現代において、楽園は地下にしか存在しない。
横浜関内に新しくオープンするお店の名前から、そのようなメッセージを受け取ったのは、私だけはないはずだ。
東京界隈難民のために
オープン前よりWebサイトが公開されており、部分的ではあるが、料金体系などのシステムが明らかになったので、同店の分析していきたい。
入会金は1,000円と手軽であるものの、週末料金は13,000円となっていることから、直観的には東京と同レベルの価格水準であると考えられよう。
場所は関内駅徒歩2分と好立地であることから、都内のユーザーが気分転換に来店することもあるように思う。
実際、東京のお店に通っているが、しがらみが嫌になって、横浜のお店に行ったところ、東京の知り合いに遭遇したという話をよく聞くのである。
内装については、まだ写真が公開されていないため、FAQの記載を参考に想像する他ないが、ダーツが設置されていることを除けば、平均的な店舗面積や設備であると、現段階では推測できる。
現代の楽園
最後に横浜の現況を外観し本稿のまとめとしよう。
以前にも採り上げたが、横浜ではグループ再編と言えるような動きがあった。
-
【研究】藤沢コスタのオープンと、リアリティーのFC展開
-
【京浜地区の地殻変動】川崎エスケープのオープンについて
その後も店舗もオープンやクローズが続くなど、横浜においても東京と同様に目まぐるしく状況が変化しているのである。
-
【横浜激震】伊勢佐木町エヴァーグリーンのオープン
前述のとおり、東京ではどこの店舗に行っても、見知った顔ぶれとエンカウントし、しがらみに苛まれることも多い。
またSNSに偏重しがちな東京の比較的新しい店舗に辟易している向きも少なくないはずだ。
SNSや生成AIに覆い尽くされた現代社会では、楽園は地下にしか存在しない。
他者から干渉を受けない現代の楽園で、自分自身を解放する。
Paradisoは、そのような人たちにとっての楽園になることを祈りつつ、筆を置きたい。
【了】