【ハプバー考古学 #02】ハプニングバーの創世記(プレハプバー~第1世代)

2022-07-10

冒頭挨拶

ハプバー遺跡の発掘調査は難航を極めている。
何しろ20年以上前の店に関することなので、Webで検索しても、ほとんど情報がないのだ。

しかしながら、幾人かの方から、匿名で貴重な助言をいただき、ここに調査の中間報告をさせていただく運びとなった。

貴重な情報をいただいきた方々には、心よりの御礼を申し上げたい。

第1回発掘調査の結果報告

さっそく本論に入ろう。
前回コラムでは、以下の事項が調査課題となった。
まずは調査結果を発表したい。

調査課題

  1. 最初の変態バーはいつ出来たのか、何というお店か
  2. 変態バーがハプバーと呼ばれたのはいつか
  3. SBやリトリートが出来るまで、どのような店があったか

調査結果

  1. 1998年にマーキス東京(現在も営業中)が変態バーとしてオープンした。しかし、それよりも前にグレイホールという、同形態のバーが存在していたようであるが何も情報がない。
    したがって、「少なくとも、90年代後半には変態バーとあった」と推測している。
  2. 変態バーがハプバーと呼ばれるようになったわけではない。
    2000年にカップル喫茶をルーツとするグランブルーがオープンし、はじめてハプニングバーを呼称した。
    したがって、カップル喫茶がハプバーに発展したものと考察している。
    変態バーと呼ばれる店は極めて限られており、アングラ遊びの主戦場は、カップル喫茶であったと推測している。
  3. グランブルーの営業期間は2000年〜2006年、渋谷SBのオープンは2006年、新宿リトリートのオープンは2009年である。
    2000年から2006年(あるいは2009年)までのあいだに、どのようなお店が存在していたのは、次回のコラムで報告したい。

ハプバー黎明期とは?

続いて、調査結果の詳細について説明していきたい。

第1回コラム執筆時、前出した課題に象徴されるハプバー黎明期の実態は、調査の手がかりが何もなかった。
しかし、コラムをご覧いただいた親切な方に、有益な情報が掲載されているWebサイトを教えていただいたことにより、後述するようにハプバー黎明期の実像が明らかになりつつある。

サイトの内容を引用すると、"ハプニングバー”という名称を最初に採用したのは、2000年にオープンしたグランブルーである。

いまでは当たり前のように、“ハプニングバー”という名称を使用しているが、実は、日本で最初にハプニングバーという呼称を採用したのは「グランブルー」。同店を取材した記者と、相談しながら、名づけたそうだ。

「遊びの学校」第七回公開講座

これを踏まえると、日本初のハプニングバーは、2000年に新宿でオープンしたグランブルーということになる。
オープン当初より、同店がハプニングバーと呼称していたかは定かではないが、同店が日本初のハプバーであることに違いはない。

それではハプバー誕生以前の状況はどうであったのだろうか?
サイトの内容を引用してみよう。

カップル喫茶は以前からあり、グランブルーの前身もカップル喫茶であったようだ。

90年代半ばになると、五反田の「LOVE2」、新宿の「ドール」など、カップル喫茶が再ブームとなる。「グランブルー」の前身になる「オリーブ」(現在の「オリーブ21」とは別店舗)もできている。

同上

一方、カップル喫茶とは別に、"変態バー"と呼ばれる形態も存在したようだ。

同時期には、“変態バー”を前身としたフェティシュバーも誕生する。大阪の「ミックスルーム」(堂山)や東京の「グレイホール」(新宿)などがその先駆けである。

同上

1998年には、変態バーとして、マーキス東京(現在も営業中)がオープンする。
ハプニングバーより前に、変態バーは存在していたということになる。

アングラ遊びの主戦場はカップル喫茶であったようだが、2000年にハプニングバーとしてグランブルーがオープンしてからは形成が逆転するようだ。(アングラ遊びかどうかは分からないが、見ず知らずの異性と遊ぶ機会は、テレクラやダイヤルQ2であったように思う。)

カップル喫茶が全盛を極める状況において、カップルでしか入店できなかったカップル喫茶のおいて、単独男性で入場できる店舗が出現した。
もっとも時期については、グランブルーのオープンの2000年以前であったのか、2000年以降であったのかは定かではない。

飛鳥(五反田)、エルシオン(新宿)、藍の森(新宿)は、単独男性入店可能のカップル喫茶であったようだ。

もっとも、グランブルー以降は、カップル喫茶がオープンせずに衰退の一途をたどる。

個人的な推測であるが、一部のカップル喫茶は、単独男性入店を可能にしたところ収益が向上したため、新規参入者は「単独男性入店可能のカップル喫茶」でオープンを前提に検討していたが、グランブルーが話題になっていたことから、もはや「カップル喫茶」ではなく、「ハプニングバー」として開業したのではないだろうか。

以上を踏まえて、時系列で整理すると、一部で変態バーは存在していたものの、アングラ遊びの主流はカップル喫茶であった。
2000年に初のハプニングバーとしてグランブルーがオープンする前後で、単独男性入店を可能とするカップル喫茶が出現した。結局のところ、アングラ遊びは、一部のカップル喫茶を残して、ハプニングバーに回収されていったと考えられる。

したがって、ハプニングバーの歴史は、グランブルーオープンの2000年から始まることとなる。
一方で、2000年のグランブルー以前に存在した、マーキス東京などの変態バーや、飛鳥など男性入店可能のカップル喫茶を、私は「プレハプバー」と呼称することにした。

そして、グランブルーがクローズする2006年までをハプニングバー第1世代と区分することにした。

なお、ハプバーを世代で区分する手法は、相葉のツイートから着想を得たものである。


次回以降のコラムで取り扱うが、グランブルーのようにカップル喫茶の影響を受けていない、眠れる森の美女(渋谷)の2006年オープンを境に、ハプニングバーは第2世代へ移行したものと考えている。

第2回発掘調査の課題

資料が乏しく言及することが難しかった、ハプバー黎明期について、以下2つの概念を定義できたことが、今回の発掘調査の成果であったように思う。

  1.   2000年にハプバーとしてグランブルーが誕生する以前に存在した、男性入店可能のカップル喫茶や変態バーをプレハプバーと定義。
  2.   ハプバーを世代で区分し、グランブルー誕生以前をプレハプバー期と定義。

しかしながら、課題は多く残された。

  • マーキス東京以前に存在した、変態バーの嚆矢、グレイホールとはどのような店であったか

グレイホールについて確認できるのは、2006年のWebで、青山から新橋に移転したということだけである。

  • グランブルーは新宿でオープンしたが、六本木にも出店していたのか
  • 同店の店名は、「グランブルー」なのか、「Le Grand Bleu」なのか

以下の記述により、日本初のハプバー「グランブルー」が、2000年に新宿でオープンしたのは間違いない。

そんな流れを引き継ぐ形で、2000年、新宿・歌舞伎町に誕生したのが日本初のハプニングバー「グランブルー」である。

同上

しかし、以下のサイトによれば、六本木店も存在したようである。

 まだ営業したばっかでわたししかお客が居ませんお店の人も週末賑やかなときは3~4人居ますが今日は1人でしかもグランブルーは六本木にもあるんだけどそこの店長と新宿の店長交代でやってるそうで今日は六本木店長の番でした。

風俗体験取材 佐伯リカ

さらに、六本木店は2006年に摘発されて閉店している。

「グランブルー」は、ハプニングバーが隆盛を極めた時代の先陣を駆け抜け、2006年に華々しく幕を閉じた。

同店の閉店を惜しむものは数知らず。ラストウィークは連日、押すな押すなの大盛況で、超満員だったという。

「遊びの学校」第七回公開講座

さらに調査が困難なのは、以下の課題である。

  • 最初に単独男性の入店を許可したカップル喫茶はどのお店か
  • いつ独男性の入店可能なカップル喫茶が誕生したのか
  • 追随して、単独男性の入店を許可したカップル喫茶はどのお店か

今回の調査で最も難航したのが、当時のカップル喫茶の実態である。
特にハプバーのプロトタイプとも考えられる、単独男性可のカップル喫茶である。

「店舗リスト」プロジェクト

今更さらではあるが、ハプバー遺跡発掘調査のプロジェクト成果として、店舗リストを作成することとした。

しかしながら、ご覧のとおり、カップル喫茶については、ほとんど情報がない。
当時の状況をご存じの方からの情報提供をお願いしたい。

以下のリストは、グランブルーや変態バーのほかに、Web検索のみを頼りに、グランブルーオープンの2000年以前に存在していたであろうカップル喫茶を抽出したものである。

特に重要なのは、グランブルーの前身となったカップル喫茶としてオリーブ(現在営業中のオリーブ21ではない)である。
さらに、昼はカップル喫茶として営業し、夜はハプバー営業をしていたDream One(新宿)や、カップル喫茶の飛鳥にも注目している。

しかし、はっきり言えるのは、かつてカップル喫茶は数多く存在したが、おそらく、グランブルーオープンの2000年を境に新規出店がなくなり衰退したということである。
都内で営業しているカップル喫茶は2店舗しかない。

店名業態場所オープンクローズ備考
グレイホール変態バー青山・新橋
マーキス東京変態バー新宿1998/?/?営業中
Club-Momo変態バー????
グランブルーハプバー新宿2000/?/?2006/?/?
グランブルーハプバー六本木2006/9/8摘発
飛鳥カップル喫茶・ハプバー新宿単男可
エルシオンカップル喫茶新宿単男可
藍の森カップル喫茶新宿単男可
カルチャーカップル喫茶四谷単男可?
フォーチュンカップル喫茶池袋1994/?/?2010/5/19単男可?・摘発
Xカップル喫茶池袋単男可?
アンスリウムカップル喫茶六本木単男可?
ドルフィンカップル喫茶六本木単男可?
ヘブンカップル喫茶四谷単男可?
フォレストカップル喫茶秋葉原単男可?
夢の楽園カップル喫茶荻窪1995/?/?営業中単男不可
オリープカップル喫茶単男可?
オリープ21カップル喫茶新宿営業中単男不可
キャッツ愛カップル喫茶新宿単男不可
Dream(One)?カップル喫茶・ハプバー新宿昼はカップル専用
オリエンタルカップル喫茶単男可?
アライブカップル喫茶新宿単男可?
LOVE2カップル喫茶五反田単男可?
ドールカップル喫茶新宿単男可?
サウスバードカップル喫茶恵比寿単男可?

リスト作成にあたっては、以下のサイトを参考にした。

次回のコラムでは、今回の課題事項の調査結果と、グランブルーの閉店から渋谷SBオープンまでに存在した店について報告させていただきたい。

改めて、情報提供をお願い致します。

【了】

【更新履歴】
2022/07/10公開
2022/09/19新サイトへ転載

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