【わいわい系2.0】ノクターン第2番 変ホ長調「NEO」と誓約書について

2024-12-08

フルーツジッパーはミドリ推し

それは🍢くんとフルーツジッパーに関する話題に花を咲かせている最中の出来事であった。

https://twitter.com/akeomeyoko/status/1864892893628109208?s=46&t=8_JFVosfPPDwC8NuUtTCCQ

錦糸町の夜想曲(ノクターン)第二番として、新店NEOのオープンが発表されると共に、当局と取り交わされた「誓約書」の内容が公表されたのである。

まもなくオープンする新店NEOや、「公判それ自体がハプニング」とでも形容できる、現在係属中の公判に関する話題は別稿で触れるとして、まずはこの「誓約書」の記載について取り上げていくことととしたい。

誓約書は非常に興味深い内容となっている。断言はできないものの、それは当局との間で取り交わされた、具体的なアコード(協定)であるように思えるからである。

さらに言えば、このような実務レベルの指針が公になったという点についても驚嘆せざるを得ない。

今般の状況の変化を踏まえ、本稿は誓約書の条項を子細に検討するとともに、界隈のレギュレーションに関する今後の展望を明らかにすることを目的としたい。

アコードとしての誓約書

前述のとおり、オーナーと当局との間で取り交わされた誓約書は、協定としての性質を持っているように考えられる。

これはレギュレーターの現場レベルでの意識や基準が成文化されるとともに、それが双方によって合意に至り、さらにはその内容が公表されたという意味において、界隈にとって極めて画期的な出来事である。

その理由は、これまではグレイな部分が多かった界隈において、リーガルをクリアした営業が成立する可能性を秘めているからだ。

「界隈のマグナ・カルタ(大憲章)」とでも呼べるような貴重なアコードに発展するかもしれないのである。

完全合法のわいわい系——それをここでは「わいわい系2.0」と呼ぶことにしたい。

司法プロセスにおいて勝利を獲得する前に、すでにオーナーは当局との間で重要なディールを成立させていたのである。

界隈法学講座

ここからはオーナーの投稿を引用しつつ、法律的な視点から今回の誓約書について具体的に検証していこう。

今回の摘発&逮捕で、お店自体は営業停止処分等にはなっておらず、飲食店営業許可はそのままで営業は可能な状態です。

オーナーX投稿

オーナーによれば飲食店としては営業ができる状態であるという。

リニューアルオープンにあたって、警察の生活安全課に電話して、「再度同形態のバーを開いて良いか?注意する点などはありますか?」と正面からお伺いを立てました。

生活安全課の方からは、「警察は許可を出す機関ではないため、OKとかお墨付きとかは出せないです。誓約書に書いてもらったことを守りつつ、今回学んだことを活かして法令に違反しない営業を頑張って行ってください。」

オーナーX投稿

当局のコメントはもっともである。風俗営業の許可は警察ではなく、公安委員会の権限である。

(営業の許可)
第三条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

風営法

しかし営業を許可をする立場にはないものの、警察は誓約書の同意事項に従えば、同様の業態での営業が可能であることを示唆している。
オーナーは界隈のレギュレーションに関する重要な指針を、当局より引き出したという意味において、重要な役割を果たしたといえる。

もっとも営業形態が飲食店営業の場合、食品衛生法に基づいて保健所の管轄となり、そうではない場合は、風営法に基づき、生活安全課を経由して公安委員会に許可の申請書を提出することになる。法律上の営業形態がどうなるかは今後のポイントである。飲食店として認められないのであれば、風営法における「酒類提供飲食店営業」として、深夜にも営業できるように届出書を提出することになる。これはいわゆるバーの営業ということである。



(用語の意義)
 飲食店営業(設備を設けて客に飲食をさせる営業で食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第五十五条第一項の許可を受けて営むものをいい、前三号に掲げる営業に該当するものを除く。以下同じ。)のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。以下「酒類提供飲食店営業」という。)で、午前六時から午後十時までの時間においてのみ営むもの以外のもの

風営法

ここからは誓約書の内容について引用しながら解説していきたい。まずもって、「風俗」とは何を指す言葉なのであろうか。政府により明確な見解が示されているので引用したい。

「風俗」とは、「飲む,打つ、買う」という言葉に代表される人間の欲望についての生活関係、すなわち、性、射幸、飲酒等人の本能的部分に起因する歓楽性、享楽性に関わる道徳的秩序をいう。

昭和59年7月19日参議院地方行政委員会鈴木政府委員(議事録17頁)

驚くべきことに国会の委員会において官僚が、このように回答しているのである。いかにも官僚的な言い回しで説明されているが、端的に言えば、風俗とは「飲む、打つ、買う」を示す言葉であり、それらを規制する法律が「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、いわゆる風営法である。

ここでは誓約書が意味するところについて、「フルーツジッパーの推し活」に忙しいおでん君に代わって、風営法などの法律と対照することで解説していくこととしたい。

誓約書 第1条

1. 午前0時から午前5時までの間にバーのような酒類提供の営業をするならば、深夜酒類提供飲食店営業の開始届をしなければならない。

誓約書

まずは誓約書の第1条である。ここでは深夜にお酒を出す営業については、届け出をしなければならないことが記されている。

(深夜における酒類提供飲食店営業の届出等)
第三十三条 酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。

風営法


バーは飲食店とは異なる営業形態で、俗に「深酒」(深夜酒類提供飲食店営業)と呼ばれる届出を公安委員会に提出することよって営業がなされているのである。これは「届出」であることから、「許可」が必要なそれ以外の営業形態に比べれば、一般的には審査基準が低いものとされる。

しかしそうであっても、ごはんやパンなどの主食を常時提供することよって、食品衛生法上の「飲食店営業」として、保健所の所轄によって営業しているお店も存在する。

地域にもよるが、歌舞伎町のように無数にバーが存在するような地域では、必ずして全てのバーが「深夜酒類提供飲食店営業」の届け出をして開業しているわけではないというのが実情である。これは端的に店の数が多すぎて問題になることが少ないからである。

いわゆるアンダーグラウンドなバーについていえば、以前は飲食店として営業する店も多かったが、最近では「深夜酒類提供飲食店営業」としてオープンしている店も増えてきているように思える。

誓約書 第2条

2. 午前O時から午前5時までの間、ショーなど客に遊興させる場合には特定遊興飲食店営業の許可を受けなければならない。

誓約書

つづいて、誓約書の第2条についてであるが、これは風営法の以下の規定に対応するものである。

(用語の意義)
11 この法律において「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。

刑法


「特定遊興飲食店営業」とは深夜まで営業するスポーツバーやクラブなどの業態である。
たとえば、深夜まで営業しているカラオケボックスについても、扱いが気になるところであるが、実は「特定遊興飲食店営業」ではなく「飲食店営業」である。
あくまで、飲食店に置いてあるカラオケ機器を客が自主的に使っているだけ(店は客に遊興させていない)という建付けになっているからである。

ま アンダーグラウンドなバーで「特定遊興飲食店営業」をわざわざ取得している店も存在していないと考えられる。それは「飲食店営業」あるいは「深夜酒類提供飲食店営業」で十分であるし、出店地域が制約され、デメリットの方が大きいからである。できれば保健所の検査だけで済む「飲食店営業」で営業したいというのが本音であろう。

誓約書 第3条~第5条

3. 従業員が客に同席し、接待行為をさせるのであれば、風俗営業第一号の許可をとらなければならない。
4. 店内の照度を10ルクス以下にして客に飲食をさせる営業をするのであれば、風俗営業第二号の許可を取らなければならない。
5. 店内に他から見通すことが困難な5平方メートル以下の客席を設け、飲食をさせるのであれば、風俗営業第3号の許可を取らなければならない。

誓約書

誓約書の第3条については、いわゆる「風俗営業」に対応する規定である。

(用語の意義)
第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの

風営法

風俗営業については許可が必要であり、立地や深夜営業が制限されるのが特徴である。
風俗営業第一号の代表はキャバクラである。深夜まで営業できないのは風俗営業に該当しているからである。一方、ガールバーの場合は従業員がカウンターの向こうにいて、客と同席することがないため、深夜酒類提供飲食店営業となる。(いゆわるバーの営業)

風俗営業第二号は「低照度飲食店」のことであり、一定の暗さの飲食店である。この形態のお店はほとんど存在せず、普通のバー営業のまま、調光器で明るさを調整している店舗は無数に存在する。

風俗営業第三号は「区画席飲食店」としてカテゴライズされる、狭い個室の飲食店であるが、この形態のお店もほとんど存在しない。(かつて存在していた同伴喫茶がこれに当たり、そのために規制であると考えられる)

これは一定の広さを設けることで規制の厳しい風俗営業を回避しているからである。またネットカフェの個室席だけにフードが提供されないのも、狭いスペースのまま飲食を提供しないことで、この法律を回避するためである。

ちなみに、風俗営業第四号はパチンコ、風俗営業第五号はゲームセンターである。いずれにせよ、アンダーグラウンドなバーが風俗営業に該当することはないだろう。

誓約書 第6条

6. 店内において、賭博所を開く、もしくは客に賭博させないこと

誓約書

誓約書の第6条は、刑法186条の賭博の禁止に対応する規定である。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

刑法

当たり前のようであるが、店がオンラインのギャンブルなどに参加、これを客に斡旋するようなことがあり、そのことが通報されるようなことがあれば、厳しく法的な責任を問われることになる。ギャンブルは営業と切り離し、個人的な趣味の範囲に留めなければならない。

誓約書 第7条

7.店内において、性器の露出や性行為及び性的疑似行為を客に見せる、若しくは客が当該行為に及んでいるのを他のものから見やすい状態にする公然わいせつに該当するような行為をしない、させない。

誓約書

誓約書の第7条は、刑法174条の公然わいせつに対応する規定であり、誓約書でもっとも重要な個所である。判例を引用しながら、詳しく解説していきたい。

(公然わいせつ)
第百七十四条公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法

まず、「わいせつな行為」の定義については、以下の判例では抽象的に説示されていたが、誓約書では具体的に定義されている点に注目したい。

行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの

東京高裁昭和27・12・18 高判集5巻12号2314頁

誓約書では、わいせつな行為を「性器の露出や性行為及び性的疑似行為」として定式化している。
ここで注意したいのは、わいせつな行為の射程を拡張していることである。そのように指摘することが可能な理由は、わいせつな行為を「性行為及び性交類似行為」ではなく「性行為及び性的疑似行為」としているからである。
類似を疑似と打ち間違えたのではない場合、フェティッシュバーのショーなども規制対象と成り得ることから、極めて厳格な規則になり得るのである。

つづいて重要なのは、公然性の定義を具体的に説示している点である。一方において、従前の判例によれば、公然性の射程は極めて広い。
公然とは不特定であるか、多人数が認識可能な状況を指す他、特定少数であっても、勧誘などによって不特定多数を経由している場合は、不特定または多人数として公然性が認められるとの見方が示されているのである。

公然とは不特定又は多数人の認識し得べき状態を云うのであつて、必ずしも 現に不特定又は多数人に認識せられることを要しないのである。従つて、特定の少数人のみの認識し得る状態においては原則として公然とは云い得ないのであ るが、もしそれが現に特定の少数人か認識し得るにすぎない状態にあるにせよ、偶発的に行われたものではなく一定の計画の下に反覆する意図をもつて不特定人を引 入れこれを観客として反覆せられる可能性のあるときは上記の趣意から見て、不特定又は多数人の認識し得べき状態であると解すべきであり、従つてこの場合には公 然性を具有するに至るものとしなければならないのである。

最決昭和32年5月22日刑集11-5-1526

例えば、ノクターンが不特定多数の客を勧誘のうえで客として入店させていたのであれば、それだけで公然性が認められることになる。つまり、勧誘を経由した特定少数が密室で行為に及んでいた場合、それは不特定また多数であり、公然わいせつに該当するということを判例では示しているのである。

つまり、ここでいう不特定多数(勧誘を経由した特定または少数)同士が互いに行為を認識できるという意味において、公然わいせつの成立する余地があり、このことがこの業態特有の法的リスクとなっていたのである。このような現状を鑑みると、公然わいせつに対する解釈や運用は不明瞭であると言わざるを得ない。

その点、誓約書では公然性の成立要件について「客が当該行為に及んでいるのを他のものから見やすい状態」と規定している。ここでは特定/不特定、多数/少数という概念を捨象しているほか、文理上、当該行為者以外を「他のもの」と定義しているように思われる。その前提で考えるならば、店内に特別に設けられた隔離された空間において、不特定多数が行為に及んでいたとしても、それを行為者以外が認知できない場合に限り、公然わいせつには該当しないと解釈することができる。

誓約書 第7条(補論)

これらを踏まえて、前段と後段を分離することで、あらためて条文を解釈してみよう。

前段は「性器の露出や性行為及び性的疑似行為を客に見せる公然わいせつに該当するような行為をしない、させない。」となる。

規制の対象は店であるため、ショーのような形で性器の露出から性的擬似行為までの容態を、店が客に鑑賞させる行為を禁じているほか、客が他の客に当該行為を見せないように店が積極的に務めなければならないことが記されている。この前段の規定により店にも、監督責任が生じているものと解される。つまり「見ていなかった」というのは言い訳にならないということである。

つづいて、後段は「客が当該行為に及んでいるのを他のものから見やすい状態にする公然わいせつに該当するような行為をしない、させない」となる。

ここでは他者から当該行為が見える可能性のある状態を店が作出することを禁止しているほか、客がそのような状況を作り出さないよう、店が積極的に監視しなければならないことが記されている。

「他のもの」が意味するところについては、「当該行為者以外」と解釈できるが、必ずしも定かではない。

例えば、条文で掲げるような行為を他者に見せるために、当該行為者が他の客を個室に誘い入れた場合、勧誘された客を行為者と見做すのかどうかは、疑問が生じる点である。

この点については、後段から解釈すると、偶発的に行為が認識可能となる環境が問題であって、自己の意思によって、双方の合意のもと個室内で閲覧する限りにおいては、前段の規定には抵触しないものと整理できる。

しかしそうであっても、店がそのような行為を反復的に業として促すことについては、著しく制約されていると解するべきである。

店の管理下において、純粋な意味での当該行為者だけが、行為者以外に認識が不能な状況においてのみ、当該行為が限定的に許容されると解するのが妥当だからである。

そのことを理解するには、公然性を否定した以下の判例が参考になるのではないか。

観覧者が特定人であるかどうかは、行為が営利本位でないかどうかということだけによって決まるのではなく、当該行為ごとの具体的事情のもので行為者と観覧者との間に、単にその場の、いわば無名的な『見せる者』と『見る者』という以上の個人的関係の存否等を考慮して決すべきである。

静岡地裁沼津支部(昭和42年6月24日)

これは行為者の具体的な関係性を配慮して、公然性を否定した判例であるが、誓約書の第7条においても、店の特殊性に鑑みて、このことが特別に配慮されたものと考えられる。

つまり行為者間で特別な関係があり、閉鎖された空間での行為であれば、特定の関係性(不特定ではなく)を具有していることから、公然性に該当しないという論理である。

そのような論理が、アンダーグラウンドなバーの限定的な条件下においても成立することを、第7条は示唆しているのではないか。

その一方で、今後はトラブルの防止など店の管理態勢が厳しく問われることになる。

店内に個室を作るよう改装したのも、そのような事情を背景にしたものと考えられる。

入店時の同意書なども法律家のチェックを経由したものを用意する必要があるだろう。

誓約書 第8条

8. 店内において、個室を設け、異性の客の性的好奇心に応じて客に接する薬務(原文ママ)を提供する営業を行ってはいけない。

誓約書

誓約書の第8条については、「店舗型性風俗特殊営業」に対応する規定である。

 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)

風営法


これはいわゆる「風俗」という言葉で連想する業態に関する規制である。ここで重要なのは、従業員がサービスとして客の性的好奇心に応じて客に接するということである。
当然のことながら、ノクターンはそのようなサービスは提供していない。

誓約書 第9条

9. 店内において、客を宿泊させるための設備を設け、旅館業法に抵触するような営業を行わない。

誓約書

誓約書の第9条は旅館業法に対応する規定である。

5 この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。

旅館業法

単純にいえば、店内にベッドや枕や毛布などを設置してはいけないという規制である。たとえばネットカフェの個室に枕や毛布が置いていない理由も、この法律によるものである。

以上が誓約書に対する解説である。

ここで重要なのは公然わいせつに関する指針を示した、誓約書の第7条であろう。わいせつ行為の射程が拡大した一方、公然性の定義が明確化されたということを認識する必要がある。

ねえ、アップデートしよ?

論考の最後に、ふたたびフルーツジッパーについて取り上げたい。

フルーツジッパーのシングルCD「NEW KAWAII」のなかに、「ねえ、アップデートしよ?」という歌詞があるが、昨今の状況を踏まえるならば、これはアングラ界隈と規制当局へのメッセージにも当てはまるのではないだろうか。

その点、今回の誓約書においては、公然性に対する規制当局の解釈がアップデートされたことのみならず、お店の運用形態もそれにしたがってアップデートしたと考えることができる。

もちろん、誓約書が指針としてどの程度ワークするかについては、今後も時間をかけて観察しなければならないだろう。


それは、風営法の具体的な規制の在り方について明示した「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」において、公然わいせつに対する運用が変更されたわけではないし、当然のことながら、所轄地域、それもノクターンとの間にだけ取り交わされた約束事に過ぎないからである。

ともあれ、ノクターンのオーナーによって実現した「誓約書」は、界隈をアップデートする重要な契機となったのである。

錦糸町の夜想曲第2番「NEO」は、新しい契約(new testament)として奏でられる——。

なお、オーナーはフルーツジッパーのオレンジ推しであることも、最後に付け加えておきたい。

https://twitter.com/akeomeyoko/status/1865678372220903916?s=46&t=8_JFVosfPPDwC8NuUtTCCQ

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